43%の増収!成長率が加速する「Amazon.com」2018年1Q決算まとめ

Amazonの2018年1Qの四半期決算が発表されたので、まとめていきたいと思います。


全体像

キャッシュフロー

過去12ヶ月間での営業キャッシュフローは182億ドルとなり、前年同期時点(2017年1Q)と比べると、4%の増加。

同期間におけるフリーキャッシュフローは73億ドルで、前年同期時点の101億ドルに対して減少しています。

売上高

一方、四半期での売上高は43%増加し、510億ドルに。(前年同期は357億ドル)

為替の影響を除くと、実質的には39%の増収となります。

利益

営業利益は92%の増益となり、19億ドルに。(前年同期は10億ドル)。

純利益は16億ドルで、前年同期の7億2400万ドルから120%の増益。


全体感としては、Amazonが最優先とする「フリーキャッシュフロー」は減少しているものの、トップライン(売上)とボトムライン(純利益)は爆発的に成長していることが言えます。


ジェフ・ベゾスのコメント

CEOのジェフ・ベゾス氏はAWSの好調について次のようなコメントを出しています。

「AWSには、横並びの競争が始まるより7年も前から開始したという並ならぬアドバンテージがあり、チームは決してスローダウンしなかった。

結果、AWSは最も進化し、機能が豊富なサービスとなっている。

AWSによって、開発者はより多くのことができ、より素早く動けるし、毎日さらに良くなっていく。だからこそ、AWSはこの2四半期ほど連続で、並外れた成長につながった。全てのAWS顧客にとても感謝しているし、引き続き懸命に働くことを約束する。」


セグメント毎の売上:ここ1年で成長が明らかに加速

続いて、セグメント毎の四半期業績の変化をチェックしてみます。

まずは四半期売上の推移を、2014年Q2のデータからつなげて見てみましょう。



北米セグメント(North America)の売上は307億ドルと、全体の60%を占めています。

売上比率の変化を見ると、AWSと北米セグメントが拡大し、海外セグメント(International)は、比率としては小さくなっています。

逆にいうと、それほど北米やAWSの成長がすさまじいということが言えます。

四半期売上の前年成長率の推移です。

AWSの前年成長率は40%を下回らないという圧倒的な成長です。

2017年2Qまでは少しずつ成長が鈍化していましたが、2期前から成長が加速していることも分かります。

というか、北米セグメントや海外セグメントも、ここ1年くらいで成長が加速しているようです。これは一体なんなんだ。


セグメント毎の営業損益

続いて、三つのセグメントの営業損益の推移です。  

海外事業は一貫して赤字であり、ここ1年半は赤字幅が拡大しています。 AWSが稼ぎ頭となって利益を積み重ねていますが、ここ2四半期は北米セグメントの利益も10億ドルを超えています。

財政状態

バランスシートの中身をチェックしてみます。

総資産は1263億ドルと、前年同期よりも減少しています。

現金同等物が166億7600万ドル、有価証券が82億8700万ドル。在庫が138億4000万ドルとなっています。流動資産が軒並み減少していますね。

有形固定資産は523億3100万ドル、のれんは133億8800万ドルとなっています。


バランスシートの反対側です。

借入金は246億4000万ドル。結構あるんですね。

利益剰余金は111億9900万ドル、払込資本(Additional paid-in capital)は225億6300万ドルとなっています。

意外にも、1Qの営業キャッシュフローはマイナス。

どうやら1Qには買掛金(Accounts payable)が増加する傾向があり、営業キャッシュフローはマイナスになる傾向があるようです。

Amazonがキャッシュフローを報告する際に必ず「過去12ヶ月間の数値」を強調するのはこれが理由かもしれません。

過去12ヶ月間では、固定資産への投資(Purchases of property and equipment, including internal-use software and website development)に129億ドルを費やしており、このことが同期間におけるフリーキャッシュフローを押し下げています。


Alexaに関するハイライト

最後に、長い箇条書きの列を一つずつチェックしていきます。まずはAlexaに関するものから。

・「ベストバイ」と提携

家電量販店「ベストバイ」の間で、次世代バージョンの「Fire TV Edition smart TV」をアメリカとカナダの顧客に届ける独占提携を複数年で結んだ。東芝や「Insignia」ブランドの4Kや「HD Fire TV Edition」モデルを10種類以上リリースし、2018年にベストバイ店舗やBestBuy.com、Amazon.comで買うことができる。

・「Ring」買収

ホームセキュリティ企業「Ring」を買収した。「手頃で効果的なホームセキュリティ製品やサービスを提供して近隣の犯罪を減らす」というRingのミッションを共に加速していく。

・アレクサに「FreeTime」を導入

アレクサに「FreeTime」を導入。子供だけのためにゼロから作られた最初の機能だ。

これにより、人気のある「FreeTime」「FreeTime Unlimited」などのサービスが、Echo、Echo Dot、Echo Plusなどの機器で利用できるようになる。

もっと簡単にFreeTimeにアクセスできる「Echo Dot Kids Edition」も公開。

・アレクサへの機能追加

アレクサへの新機能をいくつか追加した。

「フォローアップモード」では、トリガーとなる言葉を繰り返さなくても命令を続けることができ、より会話っぽくなる。

「Alexa Donations」では、Amazon Payとの連携によって、声だけで慈善事業に寄付を送ることができる。

「ブリーフモード」では、アレクサの反応が短くなる。

日々のアレクサ・ルーティンに音楽やポッドキャストを加えられたり、Fire 7やFire HD 8のタブレットでは、充電中ならハンズフリーでアレクサを使えるようになった。

・Alexa Skill Blueprints

「Alexa Skill Blueprints」により、プログラミングができなくてもオリジナルの「スキル」を作り出すことができる。

簡単に使えるテンプレートにより、アメリカ国内のユーザーは、ほんの数分でアレクサ付きのデバイスで、ユニークな体験を作り出すことができる。ジョークとか、お話とか、パーティーゲーム、Q&Aとか。

・Alexaの開発者向け機能

「声でコントロールするエンターテイメント」をさらに簡単にする新しい開発者向けツールや機能をリリース。

遠距離でのボイスコントロールの拡大や、声でDVR(デジタルビデオレコーダー)の録画を制御したりできる「Video Skill API」の追加など。

新しい「Alexa Skills Kit」デベロッパーコンソールなど、スキルを開発するためのさらなる方法を追加した。

Alexaには今や、外部デベロッパーが開発した4万を超えるスキルがあり、その中には「Lonely Planet」「ポケモン」「Denny’s」などとの連携もある。

・Alexaの通話機能

「Alexa Calling」やメッセージング機能により、新しい方法でコミュニケーションを取れるようになった。

「Alexa Announcements」では、家庭内の他のEcho機器に対して一方通行のメッセージを送ることができる。

・Alexaの利用機器の広がり

Alexaは、「Alexa Voice Service」を通じてより多くの機器で使えるようになった。

例えば、トヨタの「Avalon」「Rav4」「カローラ」の新しいモデルや、ecobeeの「Switch+」などがある。


Amazon Primeに関するハイライト

・動画の版権

Amazon Studiosは、有名映画監督のスティーブン・スピルバーグやスティーヴン・ザイリアンから新シリーズ「Cortés」を入手。ハビエル・バルデムが主演。

「ゴーン・ガール」の著者であるギリアン・フリンによって書かれたシリーズ「Utopia」も。

さらに、「Consider Phlebas」の世界での放映権を獲得した。イアン・バンクスによる「Culture」シリーズの最初の小説である。

・「Bosch」のシーズン4と「Sneaky Pete」のシーズン2を放送開始。

・「The Prime Video Direct Film Festival Stars Program」により、Prime Videoだけで見られる70の映画作品が公開された。Sundanceやトライベッカ、SXSW、TIFFなどのフィルム・フェスティバルで撮られた映画を配給するというモデルだ。それにより、独立した映画製作者や権利者に、何百万もの現金が事前に支払われた。

・有料会員のうち、数千万人がAmazon Musicを利用しており、「Amazon Music Unlimited」の定期課金者数は過去6ヶ月間で2倍以上に増えた。

・Amazonとチェース銀行、ホールフーズ・マーケットの連携により、プライム会員がホールフーズで買い物するときに「Amazon Prime Rewards Visa Card」を使うと、5%分を稼ぐことができる(キャッシュバックかポイントかは不明)。

・アメリカの10都市にあるホールフーズ・マーケット店舗から、食料品のデリバリーを開始。これによって、顧客は何千もの自然でオーガニックな食品などを二時間で無料配達してもらえる。

・アマゾン・メキシコ(Amazon.com.mx)は、Primeを開始して一周年。2000万を超える商品を高速に配達してもらえる。

・アマゾン・チャイナ(Amazon.cn)は、Prime Readingを開始。中国のプライム会員向けのエンターテイメント特典である。

・「Amazon Global Selling」により、スモールビジネスはより簡単に海外の消費者とつながることができる。2017年、グローバルな販売者の売上は50%以上増え、サードパーティ販売による売上のうち、25%以上を占めている。

・オーストラリアで「Fulfillment by Amazon (FBA)」を開始。Amazon.com.auで商品を売りたいスモールビジネスは、Amazonの物流ネットワークを活用することができる。

・ヨーロッパでは、スペイン、イタリア、イギリスにさらなる物流センターを開設。

・Amazonはアメリカに15の太陽エネルギーで動く物流センターを有している。2020年までにソーラーエネルギーによって稼働する物流センターを50まで増やすというコミットメントの途中であり、さらにその先には我々のインフラ全てを再生可能エネルギーで賄うという目標がある。



AWSに関するハイライト

・新顧客

今期、GoDaddy、Cox Automotive、Shutterfly、NextGen Healthcareがオンラインのインフラを全てAWSに移すことを発表した。

AmwayのIoTプラットフォームは、AWSのサーバレス・アーキテクチャーを使って開発された。

LG ElectronicsはAWSのIoT Coreサービスを使ってLGE家庭機器(LG SmartThinQブランド)をつないでいる。

Pfizerは、Redshiftをミッション・クリティカルな分析アプリケーションとしての選択した。

・何万もの顧客が、AWSの機械学習サービスを利用している。「Amazon SageMaker」の採用が加速したこともあり昨年だけで250%は増加した。

その中には、Articulate、キャセイパシフィック航空、クックパッド、ダウジョーンズ、Expedia.com、FICO、Grammarly、NFL、PubNub、Tinder、VMwareなどが含まれている。

・Amazon Aurora

データベース「Amazon Aurora」は引き続き、AWS史上もっとも早く成長するサービスとなっている。

新しい顧客にはADP、トレンドマイクロ、アリゾナ州立大学、レコチョクなどが含まれている。

・大阪に新しいリージョンと2つのAvailability Zoneを追加。現在では、18のリージョンと54 のAvailability Zoneがある。