今こそ知りたい「全銀システム」の歴史と問題点
日本の銀行の間で、振込手数料の引き下げ競争が本格化している。
三菱UFJ銀行は10月1日より「他行あて」の振込手数料を引き下げ。インターネットバンキングでは3万円未満の送金について220円から154円に、3万円以上では330円から220円へと変更された。
みずほ銀行も同日から振込手数料を改定しているほか、三井住友銀行も11月1日より他行あての手数料を引き下げる。
三大メガバンクだけではない。住信SBIネット銀行(個人)は他行あての振込手数料について「一律77円(税込)」に引き下げ。楽天銀行やPayPay銀行、ソニー銀行やイオン銀行なども、10月1日から一斉に手数料の改定に動いている。
今回の動きの背景にあるのが、国内の資金決済を支える「全銀システム」が銀行間手数料を統一したことだ。全銀システムは日本全国の銀行を結ぶインフラだが、40年以上も手数料が据え置かれてきたとして政府や公正取引委員会から是正を促されていた。
さらにその背景には、「フィンテック」の勃興がある。低コストな金融システムが社会全体として必要とされる中、「送金」へのテコ入れが行われたというわけだ。
銀行側、とくに地銀にとっては良い話ではない。ただでさえ低金利の時代だ。振込手数料による収入が減少すれば、さらなるコスト減や収益源を追求しなくてはならない。
今回の記事では、そもそも「全銀システム」がどのように生まれ、どんな価値を実現してきたのかを紐解く。その上で、今後の銀行業にどのような影響が起こるかを考える。