12月22日、SEC(米証券取引委員会)による暗号通貨リップル(Ripple / XRP)への訴訟が界隈を騒がせた。
プレスリリースによると、主題は「登録されていない証券を13億ドル分オファリングした」こと。相手取ったのはRipple社と創業CEO、現CEOの二人だ。
リップル側はすぐさまこれに応じ、「自分たちは法の歴史として正しい側にいる」と自信を見せた。ビットコインやイーサリアムは「通貨」として既に認められており、リップルもそれと何ら変わりないというのだ。
しかし、事態はそう単純ではない。SEC側の主張はリップルやCEO二人がトークンの発行によって巨額の金銭を獲得した点にもある。
訴状を読むと、SEC側がいかにして今回の訴訟にたどり着いたかがよく分かる。かなり長い文書だが、今回はその中で特に注目すべき点について解説したい。
まず知っておく必要があるのは、「そもそもリップルとは何か?」という点である。
リップル社は2012年、現在会長を務める初代CEO、クリス・ラーセン(Christian Larsen)によって設立された。ラーセンは1960年生まれで、サンフランシスコ州立大を卒業後、社会人を経てスタンフォードでMBAを取得。
1992年代には住宅ローンビジネスを開始する。その後インターネットブームが巻き起こる中、1997年にはオンラインでローンを申し込める「E-LOAN」を設立。オンラインの貸金事業者としては1999年に初めて上場した。
一時は業界トッププレイヤーだったが、その後は競争が激化。2005年にはプエルトリコ発の銀行持株会社、ポピュラー社に3億ドルで売却され、CEOを降りる。
その後はP2Pレンディングの「Prosper Marketplace」を創業。こちらも2011年までCEOを務め、退いている。
2012年、ラーセンは「OpenCoin」を創業。ここで開発を本格化したのが、決済プロトコルの『Ripple』である。
『Ripple』の歴史は古く、2004年にカナダのライアン・ファガー(Ryan Fugger)が最初に着手した。その後は暗号通貨技術を取り入れ、本格的に発展する。