受託・人材・検索エンジン・blog・ゲーム・EC・・・時代とともに事業を変遷してきたCROOZの事業数字

今回は、CROOZを取り上げます。個人的に決算説明会資料のシックな感じのトーンが好きです。CROOZと言えば事業変遷が激しく、でも、業績を伸ばし続けている変化に強い会社であるイメージがあります。


                       決算説明資料より引用

本エントリではその事業変遷を決算数字から見ていきます。


沿革

CROOZの沿革を一言でいうと「変化」。従業員目線だと色々と大変だなぁと思った次第です。事業の開始・撤退の沿革を紹介していきます。


2001年 有限会社ウェブドゥジャパン(現CROOZ株式会社)を設立。モバイルコンテンツコンテンツ受託事業を開始

2002年 IT業界に特化した人材派遣業を開始

2003年 モバイル領域でコンテンツプロバイダー事業を開始

2004年 検索エンジン「CROOZ」を開発し、アドネットワーク事業を開始

2007年 大証ヘラクレス(現ジャスダック)上場

2007年 モバイル領域でソーシャルゲーム事業を開始

2008年 コマース事業を開始

2009年 モバイルコンテンツ事業に注力するため、人材派遣事業・アドネットワーク事業から撤退

2010年 Mobageにソーシャルゲームプロバイダーとして参入

2012年 SHOPLIST.com

2014年 ネイティブゲーム市場に参入

2015年 コマース事業に注力するためゲーム事業から撤退

現在のメインビジネスは、アパレルECの「SHOPLIST」です。

https://shop-list.com/

ビジネスフローはこんな感じです。

SHOPLISTがブランド各社から商品を買い取るのではなく、商品をいったん倉庫に預け入れてもらい、ユーザーからの注文に応じて発送。売れた分のみ手数料を控除して、ブランド各社に代金を支払うモデルです。

では、度重なる事業転換により事業数字はどのような変遷を辿っていたのかを見てきます。

売上構成の推移

事業変遷を売上の構成比を事業年度推移で見ていきます。インターネットコンテンツ事業は「ゲーム」、インターネットコマース事業は「EC」です。

2013年3月期は全体売上の81%をインターネットコンテンツ事業が占めていましたが、2017年3月期には32%まで減少しています。一方、インターネットコマース事業は2013年3月期に17%程度だったのが、2017年3月期には67%にまで上昇しています。

業績推移

2006年の売上は28億でしたが、2017年には285億と約10倍になっています。

コスト構造

コスト・営利の割合を対売上比で見ていきます。

大まかな傾向を表にするとこんな感じでしょうか。

売上原価 回収代行手数料 営業利益
ゲーム
EC

BSの推移

資産の推移

資産側の内訳を見ていきます。

現預金が2009年3月期には8億程度だったのが、2017年3月期には113億にまで達しています。

直近はアパレルECがメイン事業に転換しているとは言っても、在庫を自社で所有するモデルではない(出店企業から商品を預かり注文が入ったら配送)です。いわゆる消化仕入れという形態で、百貨店などが採っている契約形態で、事業の変遷に比べ資産側は大きく変遷はしていないようです。

ただ、最近は物流面への投資を進めているので、固定資産について今後は変わってきそうです。この辺は後述します。

負債・純資産の推移

負債・純資産を見ていきます。

利益剰余金が2009年3月期には5億ほどだったのが、2017年3月期には120億にまで達しています。2010年3月期にいったんへこんおり、特損でソフトウエアの除却損で3億、減損で1.5億ほど出ているのが要因です。

資産のところで述べたように、在庫がなく大きな固定資産もないので、今のところは現預金≒利益剰余金ですね。

キャッシュフローの推移

CFの推移も見ていきます。

いくつか大きな動きをしているところをピックアップします。

2013年3月期の財務CFの大きなマイナスは、自己株式の取得(約9億)と配当(約2億)です。

2015年3月期の投資CFのマイナスは、無形固定資産(ソフトウエア開発)の取得によるもの(約16億)です。この時期なのでEC事業に関する投資でしょうか。しっかり投資をかけてきていますね。

2017年3月期の投資CFのプラスは、関係会社株式の売却(約35億)であり、ゲーム事業の譲渡に伴う関係会社の整理によるものです。


CROOZの重点戦略

過去の数字をざっと見てきましたが、ここからはCROOZの今後の戦略を見ていきます。


1、現状のメイン事業であるEC(SHOPLIST)の強化

2.越境ECやオンライントラベル事業などの新規事業への投資

3、新規事業創出企業としてのCandleによる新規事業創出

では、SHOPLISTとそれ以外(新規事業)に分けてみていきます。


EC

アパレルECとして日本最大規模になっているZOZOTOWN(スタートトゥデイ)と比較しながら見ていきます。


Qごとの購入者数の比較推移です。

SHOPLISTも伸びているとはいえ、ZOZOTOWNの伸びが凄まじすぎます。

SHOPLISTの2015/1Qの購入者数は78万人ほどで、2017/2Qには143万人を超えています。



Qごとの出荷件数の推移も見てみます。

こちらもZOZOTOWNの伸びと比較してしまうと、物足りないのが率直な感想です。


Qごとの出荷単価の推移も見てみます。

こちらはZOZOTOWNが少し下がり基調であるなか、SHOPLISTは堅調に推移しています。ZOZOTOWNは徐々にリーズナブルな価格帯のブランド出店も増えてきており、その影響により単価が下がっていることが推測されます。

直近の数字を見ると、ZOZOTOWNに大きく水を開けられてしまっているのが現状ですが、SHOPLISTも手は打ってきています。


中長期のキードライバーは全ユーザーのリピート率の向上とのことです。


なぜ、全ユーザーのリピート率がキードライバーなのか

(正直、これだけだとあまりしっくりきませんでした)


リピート率向上のために取り組んだ施策


そしてその改善策の進捗も出ています。

全商品割いていても5日以内の配送ということは、物流倉庫におけるオペレーションが相当肝になってきます。そこで、物流倉庫への投資もしています。賃貸によるものですが、中の器具などは一部所有するものもあるので、ここら辺が多少BSに乗っかってきそうです。


施策が数字に反映されてくるのは2018年1月以降ということなので、引き続きウオッチしていきます。


新規事業

正直ECの足元の成長率に少々陰りが見えるなか、次の事業をどんどん仕込んでいかないといけないのがCROOZの本音でしょう。

現状リリースしている取り組みは、越境EC事業とOTA事業(オンライントラベルエージェンシー事業)です。

越境ECは、中国の最大ECである「Tmall global」でのサービスを開始しています。

OTA事業では、2017年5月にM&Aで取得したairtownをリニューアルし次の成長分野と位置付けています。


また12.5億で買収したCandleを新規事業創出企業と位置付け、ここから新規サービスの開発を仕込んでいるとのことです。


この辺りをザっとまとめると

・常に変遷しているCROOZは、今もまた新しい事業創出を狙っている.

・アパレルECの領域に特化してから5年で200億の売上規模にまで成長したものの、ここから先もまだ投資していくとのことです(国内にZOZOTOWNという圧倒的なベンチマークとなる存在がいて、まだまだ奪取できるパイのある分野だと思います)


また、大きな事業変遷が勃発するのか、非常に楽しみにしています!