カスタマーサポートを「禅」にする!Zendeskの歴史と事業数値を分解!

今回は、カスタマーサポートSaaSを展開するZendeskについてまとめたいと思います。

本エントリではZendeskの創業から上場までの経緯をまとめた上で、過去4-5年の決算数値をまとめてみたいと思います。

Zendeskの創業

参考:From Its Beginnings In A Denmark Loft, Zendesk’s Steady Rise To The Top Of The Helpdesk Heap

2006年、Mikkel Svaneと同僚のMorten Primdahlは企業で古臭いカスタマーサポート・ソリューションの開発に従事していました。

既存のソリューションはあまりに複雑で、設定するのにコンサルタントに電話しなくてはならないという本末転倒なものでした。

二人はこの課題を解決するための新しいアイデアを模索します。当時はSalesforce.comをはじめとした「SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」モデルが登場した時期でもありました。

彼らはデザイナーの友人Alexander Aghassipourにも声をかけ、「カスタマーサービスとヘルプデスクの再発明」というコンセプトを掲げます。

ヘルプデスクを「禅」のようにシンプルにしようということで「Zendesk」という名称も考案。 

(Zendeskの昔のロゴ)

2006年の終わりには3人とも仕事を辞めてZendeskに集中。デンマークのコペンハーゲンにあるロフトで開発を始めます。

自己資金による会社立ち上げから上場まで


当時はベンチャー・キャピタルなどが身近になく、個人コンサルを請け負いながら自己資金でZendeskを立ち上げます。

2007年の秋にはようやくヘルプデスクのSaaSをひっそりと公開。友人に試してもらうように連絡しました。

数ヶ月のうちにお客さんがZendeskを試そうと集まり始め、1000のトライアル顧客を獲得します。

2008年になると、さらなる成長のために外部資本が必要となり、アメリカまで行ってVC(ベンチャーキャピタル)を回りますが、ほとんどから断られます。

一方で、ソーシャル・ウェブの台頭によってZendeskの需要は高まり続け、Twitterなどの有力企業も利用し始めます。

その結果、有力VCのベンチマーク・キャピタルをはじめとするファンドから出資を受けることになり、2009年の末には有力スタートアップとしての地位を確固たるものにします。

この頃には拠点もアメリカのベイエリアに移動しています。


その後も順調な成長を続け、2014年にはナスダックへの株式上場を果たします。

業績推移を見ると、2016年には売上3.1億ドルに達し、売上成長率は4年連続で49%以上をキープしています。

営業損失率は33%とまだまだ大赤字ですが、その中身はどうなっているのでしょうか。

本エントリでは、Zendeskの事業数値の中身を分解した上で、今後のポテンシャルについて考えていきたいと思います。


Zendeskのビジネスモデル

Zendeskのビジネスモデルはとてもシンプルで、収益のほとんどを顧客からの定期課金(サブスクリプション)によって得ています。

あっけないほどシンプルですが、本当にこれだけです。

このシンプルなビジネスモデルの中で、カスタマーサポートに関する次のようなソリューションを提供しています。

1. support

Zendeskのもっとも基本となるソリューションです。

ヘルプセンターを作成し、ウェブサイトやモバイルアプリに埋め込むことができ、各サポートチケットを管理することができます。

2. chat

顧客とリアルタイムにチャットすることができます。同時に会話できるチャットの数や時間帯の設定などによって料金が異なります。

3. talk

顧客と通話することができます。

4. guide

FAQなどのナレッジベースを構築することができます。


2014年以降のプランごとの課金アカウント数です。

2017年の3Qには合計で11万3900アカウントに達しています。

地域ごとの収益も見てみます。

3.1億ドルのうち、アメリカが1.7億ドルと半分以上を占めています。

コスト構造

Zendeskはまだ営業損失が売上に対して30%以上という赤字ですが、一体何にお金を使っているのでしょうか。

セールス・マーケティング(Sales and marketing)に売上の53.5%を費やしています。

しかし、売上原価(Cost of revenue)が30%、研究開発(Research and development)も29.2%、一般管理費(General and administrative)が20%と全体的にコストは大きいです。

まだまだ売上が足りないといったところでしょうか。

財政状態

黒字化するためにはまだまだ成長が必要そうなZendeskですが、そのための体力はどのくらいあるのでしょうか。

資産の内訳をみてみます。

総資産4.75億ドルに対して現金同等物(Cash and equivalents)が9367万ドル、有価証券(Marketable securities)が1.31億ドルとなっています。


純損失が例年、1億ドル以上あることを考えるとあまり潤沢とは言えません。

資産をどこから取ってきたかを表す負債と自己資本をみてみます。

借入金はないようですが、株式により調達したお金(Additional paid-in capital)6.2億ドルのうち、3.2億ドルの累積損失(Accumulated deficit)を計上しています。


キャッシュフローもみてみます。

営業キャッシュフローはほとんど生み出せていません。

まとめ

Zendeskの決算数値を見る限り、今後がかなり不安になる内容というのが正直な印象ですが、売上成長が続いていけば、いずれ解決することだと思います。

むしろ重要なのは、この成長がいつまで続いていくかということです。

Zendeskが対象とするCRM市場の規模は2015年の時点で263億ドルと見積もられており、2017年には365億ドルに成長することが予想されていました。

CRM Software Market Share Report

セールスフォースのマーケットシェアは2015年当時で19.7%とされています。

もちろんジャンルはそれぞれ違うものの、Zendeskの製品がこの中でどのくらいのシェアを握れるかというのが長期的な焦点と言えます。

現時点ではSAPやOracleなど、Zendesk創業の理由となった”古典的ソリューション”の方が大きなシェアを握っているのが現実です。

この構図が10年後にどうなっているのか、Zendeskがトップ5社に食い込むことはできるのかというのが重要な点だと思います。

AdobeのCRM売上が10億ドル弱だったことを考えると、中長期的に抜くことは難しくなさそうですが、実際にはどうなることでしょう。

今後も勉強しながら考えていきたいと思います。