激安EC「Wish」が上場へ!その驚きのビジネスモデルとは

激安EC「Wish」が上場へ!その驚きのビジネスモデルとは

ContextLogic

ショッピングアプリ「Wish」運営元のContextLogicによるNASDAQへの新規上場申請書類が開示された。

Wishは主に中国の事業者が出品する激安商品を欧米圏の消費者に販売するマーケットプレイスだ。アプリをインストールしてみればわかるが、とにかく安い。

左上のスニーカー、定価のような数字には「20,661円」と書いてあるが、横線を引っ張って530円で売られている。左上には「マイナス97%」という数字。

右側に示したマウンテンバイク用のショーツも97%引きで53円。53円である。送料は別だが、ワンコインで買えるどころの騒ぎではない

Wishは一見すると、怪しい激安通販サイトに見える。(実際にそうだと言う声もありそうだが)意外なのは、創業者のピーター・シュルチェフスキー(Peter Szulczewski)がGoogle出身のエンジニアだという点だ。

世界随一のテクノロジー企業にいたシュルチェフスキーはなぜ、中国からの粗悪品も扱う激安ECを始めたのか。そこには創業者の原体験があった。

詳しくみていくとWishの事業モデルはとても興味深い。一見パチモンサイトにしか見えない裏側に何があるのか、目論見書の内容を紐解いてみよう。

既存のECでは買えない人たちがいる

ピーター・シュルチェフスキーは1980年代、旧ソ連支配下のポーランドで生まれ育った。

そこで経験したのは、生活に必要なものすら手に入らない世界だ。少年時代、親戚のおじさんが持ってきてくれるレゴなどの土産品に心を踊らせた。

やがてポーランドを離れ、カナダのウォータールー大学で数学とコンピュータ科学を学ぶ。その後Googleに入社すると、世界トップの広告技術を学び、テクノロジーが持つ力を目の当たりにしたという。

シュルチェフスキーは、既存のECサイトは一部の人にとって高価すぎると考えた。米国の世帯のうち2-3割は、使える現金が400ドルもない。多くは給料日直前にはクレジットカードが限度額いっぱいになるし、Amazonのプライム会員は高すぎて払えない。

彼の読みは当たった。2020年9月時点で月間アクティブユーザー数は1億人を超えて、参加する事業者は50万を超えた。購入者は世界100カ国を超える。

Wishは過去3年で最もダウンロードされたショッピングアプリで、利用の90%超はモバイルである。

従業員の約半数はエンジニアやデータサイエンティストだ。テクノロジーの力を使って、地域の家族経営店や中小のメーカー、低所得層を支えるというのが使命だ。

安売りとエンタメ性を融合

Wishのアプリを見たとき、目に付くのが「買い手を刺激する」ために凝らされた工夫である。

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