企業分析にも役にたつ租税の知識!今話題のパラダイス文書ってなに?パナマ文書に続くスキャンダルを解説!

普段は企業の決算や業績をまとめ、分析、紹介しているわけですが今回は普段とは少し違う切り口から最近話題のトピックについて日本であまり報道されていないと感じたので紹介がてら記事にしたいと思います。

日本ではそれほど大きく報道されていませんが、最近パラダイス文書という言葉をニュースで見かける方も多いかもしれません。では一体何のことなのでしょうか?


パナマ文書とは

パナマ文書とは元々はパナマにあるMossack Fonsecaという法律事務所から流失した著名人の租税回避行為を示唆するような機密文書が南ドイツ新聞社やICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)に渡り最終的には報道されたというものです。


パラダイス文書

今回のパラダイス文書に関しても流失した内容は同じようなものです。著名人の租税回避行為を示唆するものを簡単に解説すると、富裕層である著名人や政治家などがタックスヘイブンと呼ばれるケイマン諸島などの低税率地域にペーパーカンパニーなどを作り複雑かつ巧妙なスキームを用いて税金の支払いを逃れることです。

租税回避、脱税、節税の定義は様々ですが、完全に線引きをすることは難しくまた、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを作ることは合法であり何の問題もありません。

今回明らかになった主な内容は以下の通りです。

●イギリス王室の個人資産がオフショアに投資されていた

●元銀行家、投資家出あるアメリカ合衆国商務長官のWilbur Ross 長官が実質的に保有している会社がロシアのロシア系企業との繋がりがあり利益相反の可能性がある点

●イギリスのF1ドライバー、ルイス・ハミルトンが税逃れをしてプライベートジェット機を購入したこと。

●PEファンドであるBlackstoneが巨額の税逃れをしていたこと。

出典:BBC Paradise Papers: Everything you need to know about the leak


数人の著名な日本の芸能人やビジネス界で著名な人物の名前が上がりましたが大きくは報道されていないですね。もう一度強調しますがオフショア投資したりペーパーカンパニーを作ること自体は完全に合法であり、何も悪いことではありません。今回問題になっているのは明らかな税逃れでないもの以外は富裕層・芸能人・政治家がずるをしているのではないかということを示唆するような内容の文書が流失したことです。


企業分析をする上で重要になってくる税金。複雑な会計処理の方法(税効果会計など)だけでなくその企業が税金を納めている国やスキームなども予想できるとさらに深い分析ができますね(実際は手に入る資料が限られていますが)。企業の多国籍化に伴って企業の会計処理、もちろん税金については特に複雑化しています。移転価格税制など、名前を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。日本だけでなく主要な先進国は国際課税に関しての法規制をしっかりと設け、租税条約という国家間の条約も果たしていますが、まだまだ法律の抜け穴やグレーゾーンが多いのが現状です。


租税法や実務的な税務の勉強をすることでさらに深い企業の財務分析が進みますね!


参考

Paradise papers: special investigation

Watch: Snax Haven – How To Hide The Secret Sauce and Save Millions

Paradise Papers: Queen's private estate invested £10m in offshore funds