テスラのライバル?詐欺疑惑の電気自動車メーカー「ニコラ」とは一体何なのか
2020年、電気自動車メーカー「テスラ」は歴史的とも言える水準で株価が上昇し、時価総額でトヨタ自動車を超えてしまった。両社の事業規模の差を考えれば、これは大変な事態だ。
ちょうど1年前にテスラの株を買っていたら、ほとんどマイナスになることなく9倍になった。時価総額は4,187億ドルで、トヨタ自動車(1,837億ドル)より2倍以上大きい。
「狂い上げ」の余波を受けたのはテスラだけではない。2020年6月、水素燃料電池を搭載する電動ピックアップトラックを開発する新たなEVメーカーが上場した。
その名も「ニコラ」。ニコラ・テスラのファーストネームを冠したこの会社は、一時は時価総額3兆円という水準に達した。
まだ上場して日が浅いにも関わらず、ニコラをめぐる情報は目まぐるしい。9月10日にヒルデンブルグ・リサーチが「ニコラは投資家を欺いた」とするレポートを発表、株価は暴落した。
創業者であり対外的な顔でもあったトレバー・ミルトンは執行会長を辞任。上場企業でありながら「即日辞任」と、なかなか大変な動きである。
ヒルデンブルグ・リサーチのレポートは空売りを目的にしたものだから、全てを鵜呑みにするのは危険だ。しかし、中身を見ると創業者のミルトン本人が語っている部分もあり、それ自体に疑念を禁じ得ない。
今回のエントリでは、2020年6月に逆さ上場した「ニコラ」とは一体何なのか、上場目論見書やヒルデンブルグ・リサーチの調査内容とともに整理したい。
ニコラの創業者トレバー・ミルトンは、フォーブズによると現在38歳だ。ユタバレー大学をドロップアウトした後、起業家としてのキャリアを歩んだという。