高級スーパーのWhole Foods Marketを買収したことで話題のAmazonですが、これまでに80社以上の買収を行ってきました。
そこで今回は、Amazonの買収についてご紹介します。
題名の「君は私が食べようとしているタコだ!」というのは、2010年にAmazonに買収されたWootのCEOのMatt Rutledgeが、Jeff Bezosに買収した理由について聞いた時に答えた言葉です。(詳細はBusiness insiderで)
今回から、技術という曖昧なものが増えていますが、お許しください。(ってか売上はないけど技術は買ってるみたいな事例は結構ある)
1998年4月 | Telebook | EC(本) |
1998年4月 | IMDB | DB(映像や映画) |
1998年8月 | PlanetAll.com | SNS |
1998年8月 | Junglee | DB |
1999年2月 | Drugstore.com | EC(薬品) |
1999年3月 | Pets.com | EC(ペット用品) |
1999年5月 | HomeGrocer.com | EC(食品) |
1999年7月 | Gear.com | EC(スポーツ用品) |
1998年10月 | Bookpages | EC(本・イギリス) |
1999年10月 | Convergence | IoT |
1999年11月 | Back to Basics Toys | EC(玩具) |
1999年12月 | Leep Technology | DB |
1999年4月 | e-Niche Incorporated | マーケットプレイス(本・音楽) |
1999年4月 | LiveBid | 技術(オークション) |
1999年5月 | Alexa Internet | DB |
1999年6月 | Accept.Com | 金融 |
2000年2月 | Tool Crib of the North | EC(B向け) |
2001年12月 | OurHouse | EC |
2002年12年 | CDNOW | EC(音楽) |
2004年8月 | Joyo.com | EC(中国) |
2005年 | Smallparts.com | EC(B向け) |
2005年4月 | BookSurge | 印刷 |
2005年7月 | createspace | EC(DVD) |
2005年8月 | Mobipocket.com | EC(電子書籍) |
2006年2月 | Shopbop | EC(女性向けアパレル) |
2006年8月 | TextPayMe | 金融(個人間送金) |
2007年5月 | Brilliance Audio | コンテンツ(オーディオブック) |
2007年5月 | dpreview | SNS(写真) |
2008年10月 | Reflexive Entertainment | ゲーム |
2008年1月 | Audible | 教育 |
2008年1月 | Without A Box | 映画支援 |
2008年6月 | Fabric.com | EC(生地) |
2008年8月 | Shelfari | SNS(本) |
2008年8月 | AbeBooks | EC(本) |
2009年4月 | Stanza | ブックリーダー |
2009年4月 | Lexcycle | 技術(電子書籍) |
2009年6月 | SnapTell | 技術(画像認識のAI) |
2009年7月 | Zappos | EC(アパレル) |
2010年10月 | BuyVIP | EC(会員制) |
2010年11月 | Quidsi | EC(ベビー用品・化粧品) |
2010年2月 | Touchco | 技術(タッチスクリーン) |
2010年6月 | Woot | EC(ディスカウント) |
2010年9月 | Amie Street | SNS(音楽) |
2011年12月 | Quorus | EC(ソーシャルショッピング) |
2011年7月 | Pushbutton | コンテンツ(映像) |
2011年7月 | The Book Depository | EC(本) |
2011年9月 | Yap | 技術(音声認識) |
2012年1月 | TeachStreet | 教育 |
2012年3月 | Kiva Systems | IoT(ロボット) |
2012年6月 | LOVEFiLM | VOD(ヨーロッパ) |
2012年6月 | Avalon Books | 出版社 |
2012年7月 | UpNext | 地図 |
2013年10月 | TenMarks Education | 教育 |
2013年1月 | IVONA Tect-To-Speech | 技術(音声認識のAI) |
2013年4月 | Evi | 技術(音声認識のAI) |
2013年5月 | Screentech | 技術(タッチスクリーン) |
2013年5月 | Liquavista | 技術(カラー電子ペーパー) |
2013年5月 | Goodreads | SNS(本) |
2014年10月 | Rooftop Media | コンテンツ(映像) |
2014年2月 | Double Helix Games | ゲーム |
2014年4月 | Comixology | EC(コミック) |
2014年8月 | Twitch | ゲーム |
2015年12月 | Orbeus | 技術(AI) |
2015年1月 | Annapurna Labs | IoT(半導体) |
2015年3月 | 2lemetry | IoT |
2015年4月 | Clusterk | クラウド |
2015年4月 | Shoefitr | EC(シューズ) |
2015年4月 | Amiato | クラウド |
2015年9月 | Safaba Translation Solutions | 技術(翻訳のAI) |
2015年9月 | Elemental Technologies | 技術(映像処理のAI) |
2016年11月 | Biba | メッセンジャー |
2016年2月 | EMVANTAGE Payments | 金融(決済・インド) |
2016年7月 | Cloud9 IDE | クラウド |
2016年9月 | Angel.ai | 技術(チャットボットのAI) |
2017年1月 | harvest.ai | 技術(セキュリティーのAI) |
2017年3月 | Souq.com | EC(アラブ) |
2017年7月 | Graphiq | 技術(検索) |
2017年7月 | GameSparks | ゲーム |
2017年7月 | Whole Foods Market | 食品スーパー |
Amazonの買収には、大きく6つの種類があります。
1つ目は、ECです。
ECでは、自分の強くないが強くしたい領域のM&Aや海外に進出するためのM&A、自社のビジネスモデルとは異なる会社のM&Aなどを創業当初から行っています。
自分の強くないが強くした領域のM&Aは、基本的にバーティカルに買いまくっています。例えば、玩具の「Back to Basics Toys」「Quidsi」、B向けの「Smallparts.com」「Tool Crib of the North」、女性向け「Shopbop」、アパレルの「Shopbop」「Zappos」「Fabric.com」、ペット用品の「Pets.com」などです。
(Quidsiの創業者は、後にAmazonに対抗するJet.comを創業し、Wal-martに買収されています。現在絶賛Amazonと戦闘中ですw)
自社のM&Aのビジネスモデルとして、ソーシャルショッピングの「Woot」、返品可能の「Zappos」などです。
2つ目は、AIです。
2009年に「SNAPTELL」を買収して以来7社を買収した他にも、5社に投資しています。音声認識に関するものをかなり買収しており、この買収がAlexaにつながっている可能性は高いです。
3つ目は、コンテンツです。
コンテンツでは、本・映像のフルフィルメントの提供を目指したものや教育、ゲーム、映像などのコンテンツの獲得を目指したM&Aなど幅広く行っています。
フルフィルメントの提供を目指したものとして、本であれば「CreateSpace」、映画であれば 「Without A Box」などがあります。
また、1998年に、映画やテレビのDBであるIMDBを買収しているのが深いなぁと思いつつ、ゲームの「Double Helix Games」、教育の「Audible」「TeachStreet」「TenMarks Education」などがあります。
4つ目は、電子書籍です。
本のフルフィルメントの提供を目指すためのM&Aを行いながら、電子書籍に関するM&Aを着実に行っています。
電子書籍を作るためのハード的な技術やソフト的な技術の買収しています。
5つ目は、SNSです。
意外かもしれませんが、SNSを1998年から買収しています。
1998年に、150万人の会員がいた「PlanetAll.com」を買収したほか、写真・本・映画・ゲームなど買収していったコンテンツと関連したSNSを買収しています。
6つ目は、ビジネス向けのサービスの買収です。
AWSを開始したのは2006年ですが、それ以降ベンチャー企業への投資をはじめています。2010年以降に、クラウドに関する企業を4社買収しているほか、10社に投資をしています。
そして、過去最高額のWhole Foods Marketの買収。
この買収は、Amazonがこれまで手がけたことがない「オフライン」とこれまであまり強くなかった「食品」の強化、映画や音楽を聴き放題などこれまで力を入れてきた「Amazon Prime 会員の待遇」の拡大と「Amazon Prime 会員」への誘惑を目指すことができます。
いかがでしたでしょうか。
買収した企業のサービスで、残っているのは正直一部のようです。(題名の「君は私が食べようとしているタコだ!」ですねw)
無駄のないM&AをしているAmazonが今後どう仕掛けてくるのか。それに対して、Wal-martなどはどう立ち向かうのか。
ま〜じで楽しみですね。