【米国IPO】中国系移民をターゲットに成長するロイヤル・ビジネス・バンク

7月後半にRBB Bancorpという銀行が米国ナスダックに上場したので調べてみた。

(画像: Royal Business Bank)

RBB Bancorpは2008年にロザンゼルスで設立された中国系アメリカ人の顧客基盤を持つ金融機関である。

傘下のRoyal Business Bankはカリフォルニアに13の支店を抱えており、150億ドルの資産を抱えている。

 カリフォルニア地域に住む米国へ移民してきた中国系の人々に対して銀行サービスを提供している。母国語でのサービスを好むユーザーを対象としており、ユーザーは海外送金などを利用する事ができる。

Royal Business Bankの経営陣はこのローカルコミュニティーとの強い関係を作る事に成功している。また連邦銀行との関係も良好で銀行として政府からの信頼を得ながら顧客数を増やしてきた。

■業績

次のグラフは同社の預金残高と総資産を示している。

(出所: Form S-1)

預金残高を毎年増やしている事が分かる。2008年の預金残高はわずか1100万ドルだったが、2016年には115億ドルまで拡大させている。


Royal Business Bankは2013年にLos Angeles National Bankを買収し1.6億ドルの預金残高を拡大、2016年には TFC Holding Companyを買収し4億ドルの預金残高を拡大させている。


次に同社の純金利収入(net interest income)と純利益を見てみる。

(出所: Form S-1)

純金利収入は2012年の2000万ドルから2016年には5650万ドルまで成長している。買収などで拡大させた預金残高をユーザーや企業へ貸し付けることで金利収入を拡大している。


純利益においては2012年の400万ドルから2016年の1900万ドルへ成長を見せている。またROEも着実に改善しており2012年の4%台から2016年には11%台になっている。

(出所: Form S-1)


■競争環境

(出所: Form S-1)

East West Bancorp、Cathay General Bancorp、Preferred Bank Los Angelesなど、RBB Bancorpと同じ様に中国系の移民を中心とした顧客層を持つ銀行は複数存在している。

その中でもEast West Bancorpは総資産、貸出金額、預金残高などもRBB Bancorpよりも遥かに上回っている。


この環境の中でRBB Bancorpはどのように差別化を計り、規模を拡大していくかが見どころである。

戦略

(出所: East-West Center)

現時点ではカリフォルニア州とネバダ州をターゲットエリアとしている。しかし上で述べたようにカリフォルニア地域での市場は競合の銀行がしのぎを削っていることから飽和状態にある。

同社の次の戦略はニューヨーク、ヒューストンでの業務拡大である。米国全体でのアジア系移民(中国が大きな割合を占める)の増加率はネバダ州がトップであり、テキサス州も人口数では100万人を超える規模になっている。

このような中国系の人口が大きく、成長率が見込める地域へ同社はサービスを拡大していく目標を立てているようだ。


■まとめ

・RBB Bancorpはカリフォルニアの中国系のコミュニティーと繋がりが強く、業績を伸ばし預金残高も増やしている

・同じ様に中国系の移民を中心とした顧客層を持つ銀行は複数存在しており、カリフォルニアにおいては飽和状態

・そのためニューヨーク、ヒューストンなど他の州への業務拡大を行う計画