中国のSNSとゲームの覇者、テンセントの事業を調べる

基本的にこのサイトでは日米の上場企業だけを扱っているが、それだけではカバーしきれない有力企業というのがいくつもあり、その筆頭が中国の巨大インターネット企業であるテンセントだった。

アリババが中国ECの王者であるとすれば、テンセントはソーシャルとゲームという2ジャンルを制している企業だ。調べないわけにはいかないだろうということで、調べる。

テンセントの歴史

テンセントは1998年11月にポニー・マーによって創業された。翌年にメッセージングサービスの「QQ」を公開し、2003年にはオンライン・ゲーム事業にも参入。

2004年には香港証券取引に上場し、2006年には香港ハンセン指数に採択されている。

業績推移がやばい。

2004年の上場から、12年間で売上高100倍以上に成長している。日本でもアメリカでおここまでの成長はなかなか見たことがない。2016年の売上高は2.5兆円ほどで、今日時点での時価総額は38兆円ほどに達している。アリババが時価総額41兆円なので、テンセントの方が少しだけ小さい(最近抜かれたんだろうけど)。


テンセントの事業

テンセントはネットワークを作っているという。

企業に対して:

・巨大なユーザーベースへのアクセス

・統一されたユーザーログインにより、顧客管理とターゲット広告が可能

・オンライン決済により、取引を容易に

ユーザーに対して:

・いつでもつながれる

・多様なコンテンツ、サービス、取引などにアクセスできる

・複数のスマートデバイスを制御

テンセントにとって:

・幅広い製品を提供することでユーザーの継続性を高める

・取引と広告によるコンバージョンを増大

・モバイルインターネットによって可能となった新しい市場に飛び込む


そのネットワークは、中国最大のソーシャル・プラットフォームを通じて作られる。

QQとQzone

・QQの月間アクティブユーザー数はPC8.6億人に対して、モバイル6.8億人と、モバイルへの移行に成功

・若くてエンタメ好きなユーザーたち

・オープンなプラットフォームによるコンテンツ開発

Weixin&WechatとMoments

・モバイル中心で作られており、月間アクティブユーザー数はおよそ9.4億人

・ホワイトカラーのユーザーたち

・公式アカウントやミニ・プログラムによるコンテンツ提供も

そして、これらのサービス群同士でもユーザーが行き来できるようにしているという。

その中にはコミュニケーション、ソーシャル・ネットワーク、オンラインゲーム、ニュースや動画、音楽、文学などのメディアも含まれる。

戦略的提携により、エコシステムを増強していく(アリババは含まれていない)。

そして、あらゆるサービスをテンセントが提供するモバイル決済に集まっていくようにする。すごいなこの図。2016年12月末には1日あたりのモバイル決済高は6億を超えたという(多分中華人民元で、日本円だと97億円ほど)。


テンセントのビジネスモデル

テンセントのビジネスモデルは3つに分類できる。

・付加価値サービス(課金ベース収益)

ソーシャルネットワークとオンラインゲームでの月額課金とアイテム購入

・オンライン広告(トラフィックベース収益)

ニュース、動画、音楽コンテンツでのメディア広告と、ソーシャルその他での広告

・その他(取引ベース収益)

オンライン決済での手数料収入や、クラウドサービスなど。


無料サービスで新しいユーザーを呼び込むことで、他のサービスとのやり取りも生まれるとのこと。これぞインターネットという感じではある。

QQやQzone、テンセント・ゲーム、動画、スポーツなどで月額課金を行なっているらしい。

オンラインゲームでは、様々なジャンルでリーダーシップを発揮しているとのこと。

メディア広告では、バナーやインフィード、ビデオの前再生などの形式を採用。

ソーシャルでもインフィード、ショート・ビデオ、位置情報ベースの公式アカウントの広告などを扱っている。スクショで見せてくれるのはわかりやすい。

収益構造

収益の内訳。ソーシャルネットワーク&オンラインゲーム(緑の部分)がかなり大きいことがわかる。できればこの二つも分けて知りたいところだが...

営業キャッシュフローは右肩上がりに増大し、2016年には1兆円を超えている。

フリーキャッシュフローもガンガン増えており、2016年には年間およそ8970億円のキャッシュを生み出している。