エムアップホールディングス 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 205億100万 円
銘柄コード 3661(市場第一部(内国株))

エムアップは東京都渋谷区に本社をおく企業。
オンラインでの有料コンテンツ販売を目的に2004年に設立。
2012年に東証マザーズへ上場。
現在は「携帯コンテンツ配信事業」「PCコンテンツ配信事業」「eコマース事業」の3つの事業が柱。
アーティスト、タレント、アスリートなどの公式サイトファンクラブサイトの運営等を展開。
CD・DVD・グッズの販売、人気ブランドのオフィシャル通販サイトの運営も行う。

沿革

レコード会社(株)アンリミテッドグループにおいて、音楽を中心としたインターネット関連事業部として発足。

その後、2004年12月に(株)エムアップとして設立。携帯電話およびPC向けの有料コンテンツの提供および通信販売を主な事業目的とし、アンリミテッドグループから事業を譲受。

2005年10月にはEC事業として、アパレル商品のセレクトショップである「ROYAL Roc(ロイヤルロッシュ)」を開設。

2007年7月には「アーティスト公式デコメ」をキャリア公式サイトとして開設し、音楽以外のコンテンツ分野へ進出した。

その後、GLAYオフィシャルストア「G-DIRECT」を開設し、CD/DVD及びブルーレイといった音楽映像商品の直販事業を本格的に開始。

2012年3月には東京証券取引所マザーズへの上場、2013年9月には東証一部への市場変更を果たした。

2020年4月には株式会社エムアップホールディングスへと商号変更し、持株会社体制へと移行している。

事業の概要

エムアップホールディングスは、「日本のエンタテインメント市場の活性化」と「新たなエンタテインメントビジネスの流通・販売形態の想像」を経営理念とし、「コンテンツ事業」、「EC事業」、「電子チケット事業」、「その他事業」という4つの事業を運営している。

同社のグループ事業には4つの特徴がある。

1つ目は「企画力主導のコンテンツおよびサイト運営」である。レコード会社をはじめとする音楽業界などのコンテンツホルダー出身者が、技術主導ではなく、利用者にとってより魅力的なコンテンツや商品を提供することに主眼をおいて、サイト運営を行っている。

2つ目は「幅広いコンテンツ分野での事業展開」である。 事業を展開するコンテンツ分野を絞り込むのではなく、複数のコンテンツ分野においてサービスやサイトを展開することで、同社グループのサービス利用者の回遊性を高め、収益機会の増大を図っている。また、複数のコンテンツ分野に対応していることは、コンテンツホルダーよりコンテンツを獲得する際の強みとなっている。

3つ目は「集客力の高いアーティスト等の獲得」。 安定的に高い集客を見込めるアーティストやタレントを取り扱うことで、新規会員の獲得を進めている。また、1つのアーティストを軸として様々な活動のサポートを行うことで、集客力だけでなく、アーティストやタレント等の芸術活動の多様性を生かしたコンテンツホルダーの獲得を実現している。 これにより、サービスやシステムの陳腐化にともなう会員数の減少を極力抑え、息の長いサイト運営に注力している。

そして4つ目は「コンテンツホルダーとのネットワーク」である。 グループにはレコード会社等のコンテンツホルダー出身者が多く在籍しており、コンテンツホルダーへの収益還元や、コンテンツホルダーとそのファンとの懸け橋となることで、良好で強固な関係を構築している。この関係性が新規コンテンツ獲得の強みとなっており、またチケット事業のトレードサービスなどの実現にもつながっている。

コンテンツ事業

主力となっているコンテンツ事業は、スマートフォンやPC向けに、有料コンテンツやアプリ配信を行う事業である。具体的に提供しているコンテンツ・サービスは、「音楽」、「ファンクラブ」、「エンタテイメント」の3種類に大別される。

有料コンテンツ配信では、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクなどのキャリア各社の公式サイトやスマートフォン向けアプリなどを通じてコンテンツを提供し、その利用料の一部が収益となる。

システム開発を伴うサイトやアプリを提供する場合には、多額のシステム開発費用が発生する場合があるが、サイトやアプリの提供を開始して以降に発生する収益を、あらかじめ設定した料率で分配する方式を採用することで、サービス開発時点のシステム開発費用を削減している。

この方式を採用することで、サービスのリスクを軽減しつつ、その時々に利用者視点で開発業者を選定し、収益の最大化や技術の進化に対する機動性を狙っている。

また、システム業者に収益の一部を分配することにより、業者側から最大限の技術の提供を受けられるという同社の考えもある。

EC事業

EC事業は、スマートフォンやPC端末の利用者に対して、インターネットを通じてCDやDVDのパッケージ商品やアーティストグッズなどの販売を行う事業である。販売形態は、アーティスト事務所から委託による販売が中心となっている。そのため、商品の販売で得られた売り上げのうち、手数料のみがエムアップホールディングスの売り上げとして計上されている。

当事業の特徴は、同社が運営するファンクラブ会員であるコアなファン層をターゲットとしている点である。2つ目の特徴は、大手のアーティストからインディーズのアーティストまで対応し、eコマースによって商品を直接顧客に販売する流通経路を開拓していること。そして3つ目の特徴は、パッケージ商品にオリジナル特典を付与する形で販売促進を図れる点だ。

電子チケット事業

電子チケット事業は、アーティストのライブやコンサートなどで使用するチケットをスマートフォンを利用した電子チケットの形式で提供する事業である。

その他事業

その他事業として、上記3つの主力事業以外の新規事業(「株式会社ROEN JAPAN」、「株式会社FREE」、「EMTG株式会社」)を展開している。

経営環境とその中での戦略

インターネットのモバイル化にともない、インターネットの利用時間が増加している。 直近では新型コロナウイルスの影響により、コンサートやライブの中止が相次いではいるものの、今後は5Gの商用化やストリーミングサービスの急成長などが確実視されており、より一層エンターテイメント業界における新たな成長が期待される。

そのような経営環境下で、エムアップHDは2つの経営方針を掲げている。

一つは「コンテンツホルダーから利用者に至るまでエンタメビジネスに携わるすべての人に対して、最適なコンテンツとその流通のためのシステムを提供」すること。もう一つは「コンテンツホルダー出身者が、より利用者にとって魅力的なコンテンツ、商品を提供することに主眼をおいてサイトを運営」することだそうだ。

そのような経営方針を実現するために、同社では「コンテンツ事業」、「EC事業」、「チケット事業」、「その他事業」のそれぞれの成長を目指すとともに、各事業がシナジー効果を生み出すようなビジネスモデルを強化する方針である。

具体的には、各事業のサイト間で相互リンクを設置することで、ユーザーの回遊性の向上とユーザー獲得のための間口の拡大を図っていることや、コンテンツ事業で獲得した顧客に対してECサイトで商品を販売する、といった施策を行っている。

ただし、新型コロナウイルスをはじめとして市場は絶えず変化しているため、安定的な成長を図るにはいくつか解決すべき課題がある。具体的に同社は、次に挙げる4つの課題に対処すべきと考えている。

  • 新規事業の開発(VRや電子書籍の配信など)
  • 有力コンテンツの獲得推進と認知度の向上並びに他社との差別化
  • 顧客基盤の拡大(他社に先駆けた市場への参入やサービスの相互利用の促進など)
  • 優秀な人材の確保

5Gなどの技術進歩や新型コロナなどの影響により、今後エムアップホールディングスを取り巻く経営環境は大きく変化すると考えられる。そうした環境の変化に対応できるかが、同社が安定的な成長を続ける上では必須の条件となるだろう。