セブン&アイ・ホールディングス 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 4兆3258億3700万 円
銘柄コード 3382(市場第一部(内国株))

セブン&アイ・ホールディングスは東京都千代田区に本社を置く企業。セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカドー、デニーズジャパンの持株会社として、2005年9月に設立。主な事業内容は、国内コンビニエンスストア事業、海外コンビニエンスストア事業、スーパーストア事業、百貨店事業、金融事業および専門店事業。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは東京都千代田区に本社を置くグローバル小売企業。1920年吉川敏雄氏が「浅草に羊華堂洋品店」を開業し、その後1958年ヨーカ堂、1973年ヨークセブン(後のセブン-イレブン・ジャパン)を設立。セブン&アイ・ホールディングスは、2005年9月1日に、株式会社セブン-イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社デニー ズジャパンの3社の共同株式移転により設立された純粋持株会社である。現在は「セブン-イレブン」「イトーヨーカドー」を始め、百貨店「西武そごう」、食品スーパー「ヨークマート」、金融サービス「セブン銀行」、その他「デニーズ」「ロフト」「タワーレコード」などを展開。近年はネットとグループ各社のリアル店舗を融合するオムニチャネル戦略を掲げる。

事業内容

セブン&アイ・ホールディングスグループは、株式会社セブン&アイ・ホールディングスを純粋持株会社とする167社によって形成される、流通業を中心とする企業グループである。セブン&アイグループは、「国内コンビニエンスストア事業」「海外コンビニエンスストア事業」「スーパーストア事業」「百貨店事業」「金融関連事業」および「専門店事業」を主な事業として展開している。

国内コンビニエンスストア事業

セブン&アイグループの国内コンビニエンスストア事業は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンを中心に、主にフランチャイズ・システムからなり、「セブン-イレブン」という同一店舗名でチェーン展開を行っている。同システムは、加盟店とセブン&アイグループが対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担う共同事業である。

海外コンビニエンスストア事業

セブン&アイグループの海外コンビニエンスストア事業である7-Eleven, Inc.は、主にガソリンスタンドを併設した店舗を米国及びカナダで積極的に展開しており、セブン&アイグループのチェーン全店売上に占めるガソリン売上が、約半分を占める。ガソリンのサプライチェーンの垂直統合等により、ガソリン小売価格の変動に伴う利益率の低下リスクをヘッジしている。

7-Eleven, Inc.は、セブン&アイグループに属さないエリアライセンシー及び当該エリアライセンシーが店舗を展開しており、ロイヤリティ収入を受け取っている。

スーパーストア事業

セブン&アイのスーパーストア事業は、主として株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社ヨークマート等で構成され、GMS(総合スーパー)事業と食品スーパー事業からなる。

GMS事業においては、テナント量や賃料といった不動産賃貸収入がある。個々の店舗が地域のマーケットに合致した商品の品揃えを主導する個店主義を推し進めるとともに、引き続き、MD(商品政策)改革の推進や接客の強化によるお客様とのコミュニケーションを強化する一方、不採算店舗の閉店を実行し、事業構造改革に取組んでいる。

食品スーパー事業においては、新しい生活提案型スーパーマーケットの確立を目指し、出来立て、作り立ての美味しさを追求した店内製造やMD改革の推進、生産性の向上に取組んでいる。

百貨店事業

セブン&アイグループの百貨店事業は、主として株式会社そごう・西武を中心に構成されている。株式会社そごう・西武は、首都圏店舗を中心に、地域マーケットに合わせた店舗改革(成長戦略)を推進するとともに、今後の業績改善が見込めない店舗の閉店等、事業構造改革に取組んでいる。

金融関連事業

セブン&アイグループでは、銀行業・カード事業等の金融関連事業を行っている。

株式会社セブン銀行の収入はATM事業に大きく依存しており、現金に代替する決済の普及、ATMサービスに関する競争の激化、ATMネットワーク拡大の限界といった事業環境の変化に対応している。

カード事業については、クレジットカード「セブンカード・プラス/セブンカード」及び「クラブ・オン/ミレニアムカード セゾン」と電子マネー「nanaco」の発行と運営を通じて、流通サービスと融合した利便性の高い金融サービスの実現に取組んでいる。

専門店事業

セブン&アイグループは、特徴のある商品・サービスを提供する専門店事業を行っている。

マタニティ・ベビー・キッズ用品専門店の株式会社赤ちゃん本舗、生活雑貨専門店の株式会社ロフト、レストラン事業、ファストフード事業、コントラクトフード事業(給食事業)を行う株式会社セブン&アイ・フードシステムズは、使われ方やニーズの変化に対応した商品開発の強化、及び生産性の向上による成長戦略を推進している。

株式会社ニッセンホールディングスはカタログ・インターネットによる通信販売事業を行っており、商品力の強化と販促効率向上を軸とする改革に取組む。

その他の事業

不動産事業等を行なっている。

ビジネスモデル

セブン&アイグループは「セブン&アイ経営レポート」で自社のビジネスモデルについて説明している。

ビジネスモデルの全体像

セブン&アイグループのビジネスモデルに基づく事業を通じ、顧客へ暮らしの利便性を高める質の高い商品・サービスを提供することで、多様なライスステージ・ライフシーンの顧客ニーズの充足を図っている。また、サプライチェーンマネジメント等を通じた取り組みにより、ムリ・ムダ・ムラをなくし、資源の効率的な利用による環境負荷の低減に努めている。さらに、グループシナジーマネジメント等を通じた取り組みにより、社会インフラとして、本業を通じ社会課題解決に貢献するとともに、働きがいを高め、生産性の向上を図っている。

企業価値創造の源泉要素は大きく4つ挙げられる。

多業態グループ経営:
セブン&アイグループは「あらゆるステークホルダーから信頼される誠実な企業」を目指し、顧客の様々なライフステージに応える「多業態グループ経営」をビジネスモデルとして事業の発展を図っている。グループを取り巻く社会課題や環境変化をビジネスの機会として捉え、様々な業態の事業会社がそれぞれ培ってきたノウハウや共に働く多様な人材を経営資源として一元的に結集、活用することで、他に類を見ない新しい商品やサービス(価値)を創造している。

商品・サービスイノベーション力:
セブン&アイグループは生産者(農家等)、メーカー、ベンダー(問屋)、物流会社などのお取引先様とも、相互信頼をベースとした密接な関係(チームマーチャンダイジング)を構築しており、それぞれが持つノウハウ・スキルを結集して商品・サービスを開発・販売する「イノベーション力」も、セブン&アイグループはグループ独自の企業価値創造の源泉となっている。

情報活用力:
グループ各社をご愛顧いただいている顧客のお買い物実績やご意見等の情報を集積し、多角的な観点から分析して新しいニーズの発見とサービスの開発・向上につなげている。顧客との継続的なつながりによる「情報活用力」もセブン&アイグループの企業価値創造を支えている。

接客力:
顧客の立場に立って考え、様々なニーズ・微妙な嗜好の変化を理解し、顧客一人ひとりに合わせたきめ細やかな対応ができる従業員の「接客力」もセブン&アイグループが創業以来大切に培ってきたものである。

バリューチェーンを通じた価値創造

セブン&アイグループは、ビジネスモデルを活用し、バリューチェーンの各段階で独自の仕組みを構築することにより、連鎖的に付加価値を創造している。顧客一人ひとりのニーズに向き合い、より良い生活・環境・社会の在り方を模索し、新しい価値の創造に挑戦している。

①調達:安全・安心とコスト競争力を両立する原材料の調達を実現

<主な優位・差別化ポイント>
● 共同調達による品質の安定化とコスト競争力
● 顔や産地が見える食品など消費者の安心を追求(トレーサビリティ体制)

セブン-イレブンでは、米飯や惣菜などのデイリー商品において、どこの工場で、どのような原材料がどのくらい使用されているのか、また、どの店舗にどの原材料を使用した商品が納品されているのかをデータベースで管理し、正確に把握する「レシピマスターシステム」を導入した。

イトーヨーカドーの「顔が見える食品。」は、国産の農・畜・水産物を取り扱い、商品の生産者をはじめ、生産地や生産方法、流通経路を正確にお客様に伝えら れるように管理している。「ヨークベニマルの産地が見える商品」では、店舗で生産者を表示するほか、商品に貼付されたシールの生産番号から商品の生産履歴を確認できるようにしている。

②商品企画・開発:社会のニーズを敏感に捉え、グループの商品開発におけるノウハウを結集

<主な優位・差別化ポイント>
● チームマーチャンダイジングによる高い商品開発力の発揮
● 社会のニーズや顧客の声を敏感に捉えた商品企画・開発

顧客のニーズに合った質の高い商品をつくるため、さまざまな分野のメーカーやベンダーとチームMD(マーチャンダイジング)による商品開発を行っている。チームMDでは原料の調達から生産・加工・配送まで検討を重ね、常に品質の高い商品を届けている。また、顧客の健康や栄養に関する興味・関心は、近年ますます高まりを見せている。「セブンプレミアム」の商品開発は、顧客の健康的な生活を応援する商品の開発に積極的に取り組んでいる。

③製造:グループの総合力を活かし、安全・品質管理を徹底して商品を製造

<主な優位・差別化ポイント>
● 専用工場による高い商品力の実現
● 安全性と高品質を堅守し、短時間で効率的な納品の仕組みを確立
● お取引先との協働によるサプライチェーンの人権・労働・環境面への配慮の推進

セブン-イレブンの強みの一つが、専用の原料を使って、専用のレシピに基づき、専用の設備で製造する「専用工場」での製造インフラであり、これによりお客様のニーズに応えながら高い安全性・品質を実現している。専用工場で製造された商品は、温度帯別共同配送センターから店舗へ納品される。店舗からの発注データを製造工場および温度帯別共同配送センターと共有し、短時間で効率的な納品を実現している。

セブン&アイグループでは、2012年度より、途上国にあるプライベートブランド商品の取引先製造工場を中心に年一度、「セブン&アイグループお取引先行動指針」の遵守状況を確認するCSR監査を実施している。また、指針の遵守に必要な具体的事項を明記したセルフチェックシートへの回答をデータベース化し、取引継続の判断の際の参考としている。

④物流:効率的な物流の確立で商品の鮮度と採算性を向上

<主な優位・差別化ポイント>
● 物流の効率化で実現する鮮度の維持と採算性の向上
● 最新の技術を活用した効率的で働きやすい環境の整備

セブン-イレブンでは、畑で収穫されたばかりの野菜を新鮮なまま輸送・加工するために「コールドチェーン(低温物流網)」を導入している。収穫された野菜はその場で低温保管され、特別な配送車で、生産地から野菜プロセスセンター、製造工場、店舗まで、一貫した温度管理のもとで配送されている。この仕組みによって高品質を維持し、新鮮な商品を顧客に店頭で届けることが可能となっている。

⑤営業・販売:多彩なサービスと多様な人材が創出する競争力

<主な優位・差別化ポイント>
● 毎日の暮らしの安心・便利を支えるサービスの提供
● 買い物不便を解消する、さらなる利便性の追求
● 多様な人材が活躍し成長できる、魅力ある職場づくり

買物が不便な地域にお住まいの方や、外出が難しい高齢者などを対象に、2011年5月から移動販売サービス「セブンあんしんお届け便」を開始した。2019年4月末時点で、全国で94台の販売車両が稼働しており、移動販売先ではご要望にきめ細かく応えることで、地域に欠かせないサービスとなっている。

また、注文いただいた商品を店から自宅へ届ける「セブンらくらくお届け便」は、高齢者の見守りにもつながっている。これらの活動を通じて、2019年4月末時点で、全国505の自治体と「高齢者等の支援に関する協定」を結び、地域の「安全・安心」に貢献している。

⑥廃棄:徹底した廃棄物の削減で循環型社会を実現

<主な優位・差別化ポイント>
● 食品廃棄の削減(発生抑制、再利用、飼料化、肥料化)
● 商品の省資源化や消耗品の使用量削減
● 循環型社会(サーキュラーエコノミー)の実現を支えるリサイクルシステム

セブン&アイグループでは、顧客に新鮮で安全・安心な商品を届けるために、店舗における商品の鮮度管理を徹底している。これは品質を守るための重要な取り組みだが、加盟店オーナーや従業員にとって負荷のかかる作業であり、期限切れ商品の廃棄コストも重い負担となる。

セブン-イレブンでは、素材や製造工程、温度管理を見直すことで添加物に頼らず、味や品質を落とすことなく従来よりも長い消費期限を可能にしたチルド弁当や、長鮮度のパン類・惣菜・麺類を開発。商品サイクルが従来よりも長くなったことで、店舗運営の支援につながっている。また、消費期限の延長は、食品廃棄の削減にも好影響を及ぼすと考えられることから、今後も積極的に取り組んでいく。

そのほか、セブン-イレブンはお店から出た野菜くずなどを「資源」として扱うという発想から、環境循環型農業「セブンファーム」を運営している。セブンファームは、食品残さを堆肥化し、その肥料を使って栽培した野菜を店舗で販売するもので、日本全国に14カ所(2019年2月末現在)展開している。

グループ経営管理契約

セブン&アイグループは、「セブン-イレブン・ジャパン」「イトーヨーカ堂」「セブン&アイ・フードシステムズ」及びその他の子会社23社との間で、セブン&アイグループが各社に対して行う経営管理に関し、それぞれ「グループ経営サービス等の提供に関する基本契約書」を締結している。

セブン-イレブンの加盟店契約

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンはフランチャイズ展開を推進しており、コンビニエンスストア加盟店と以下のような加盟店契約を交わしている。

当事者(株式会社セブン-イレブン・ジャパンと加盟者)の間で、取り結ぶ契約

(a)契約の名称
加盟店基本契約(書)及びその付属契約(書)

(b)契約の本旨
株式会社セブン-イレブン・ジャパンの許諾によるコンビニエンスストア経営のためのフランチャイズ契約関係を加盟者と形成すること

加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、開業時在庫の買取りを求める以外、爾後商品の販売はせず、加盟者は株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの推薦する仕入先その他任意の仕入先から商品を買い取る。

経営の指導に関する事項

株式会社セブン-イレブン・ジャパンは継続的に担当者を派遣して、店舗・商品・販売の状況を観察させて助言・指導をする他、販売情報等の資料の提供、効果的な標準小売価格の開示、各種仕入援助、広告宣伝、経営相談、計数管理のための計数等の作成提供を行い、商品仕入等についての与信をする。

使用させる商標、商号その他の表示に関する事項

コンビニエンスストア経営について“セブン-イレブン”の商標その他営業シンボル、著作物の使用をすることが許諾される。

契約の期間等に関する事項

契約の期間は、加盟店として新規開店の初日から向こう15ヶ年間と定められる。契約の更新は、協議し、合意にもとづいて行われる。

加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項

月間売上総利益(月間売上高から、月間売上商品原価(商品の総売上原価から品減り、不良品各原価及び仕入値引金を差引いた純売上原価)を差引いたもの)を基に一定の計算をして算出した金額を、株式会社セブン-イレブン・ジャパンが実施するサービスの対価として支払う。

経営方針

傘下に141社の連結子会社を擁する株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、消費者のニーズ、マーケット、そして急速な社会の変化に迅速に対応し、業務改革、事業構造の革新を不断に進めていく。

また、あらゆるニ ーズに応える多業態を擁する小売グループとして、「信頼と誠実」、「変化への対応と基本の徹底」を基本方針に掲げ、総合的にシナジーを追求していく。

そのために、セブン&アイ・ホールディングスは、ガバナンスの強化とグループシナジーの追求によりグループ企業価値の最大化に努めていく。併せて、グループを代表する上場会社としてステークホルダーに対する説明責任を果たしていく。また、各事業会社は与えられた事業範囲における責任を全うし、各々の自立性を発揮しながら、利益の成長及び資産効率の向上を追求していく。

経営指標

セブン&アイホールディングスは、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターン(利益)を拡大するとともに、キ ャッシュフローの創出力を高めることを基本方針としている。

また、連結KPIとして、連結自己資本当期純利益率(ROE)、ROICスプレッド、EPS成長率、フリーキャッシュフロー水準及びDebt/EBITDAを設定している。

中長期的な経営戦略

消費者の購買行動の変化に対応すべく、消費者のライフステージ・ライフシーンに寄り添いながら、商品・サービスの提供を通じて暮らしの利便性を高め、地域になくてはならない親しみのあるグループを目指していく。

その実現に向け、取引先、世の中の技術革新など、あらゆるリソ ースを活用し、商品やサービスの絶対価値を追求することで、顧客満足度と社会価値の最大化を目指していく。

財務戦略

設備投資

事業毎目標とするROAを達成すべく、規律ある投資を実行

● ポートフォリオコミティで投資効率を精査
● 成長事業へ傾斜配分(北米CVS事業はM&Aも検討)
● 構造改革事業は既存店活性化へ

資金調達

AA格の格付維持を前提としつつ
● 成長戦略による資金調達が必要な場合は有利子負債を調達
● 金融の成長も見込むため、D/Eレシオ0.5倍程度は許容

株主還元

「利益向上に見合う株主還元」を基本方針とし、連結配当性向は40%を維持向上
●成長事業投資とのバランスを勘案しつつ柔軟な資本政策とする

経営環境・経営課題

セブン&アイ・ホールディングスグループを取り巻く環境は、大きく変化しており、またその変化のスピードも加速している。国内においては、高齢化、世帯人数の減少、共働き世帯の増加等の社会構造変化が進むとともに、時代の変化に合わせて消費者のライフスタイルや価値観が多様化している。

一方、最低賃金の上昇や社会保険加入の拡大を受 け、雇用環境は引き続き厳しい状況が続くことが想定される。

加えて、国内外を問わず、気候変動、海洋汚染、フードロス、持続可能な調達等の社会課題が深刻化しており、企業も社会を構成する一員として、その解決に対してこれまで以上に真剣に向き合うべき時代を迎えている。

このような環境変化に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大による影響を踏まえ、セブン&アイホールディングス は、持続的な成長と発展を目指すべく、5つの課題に対処していく。

構造改革の着実な推進

スーパーストア事業・百貨店事業においては、不採算店の譲渡・閉店を進めている。スーパーストア事業では構造改革店舗において、ライフスタイル売場を縮小し、食品・テナントを拡大することで一定の成果を上げている。百貨店事業でもプロパティマネジメントの導入・深耕による店舗構造改革を進めている。今後も要員構成の適正化も含め、事業構造改革を更に加速していく。

国内コンビニエンスストア事業においては、人件費の上昇をはじめとした国内労働市場の環境変化を受け、 基本方針である「変化への対応と基本の徹底」に従い、従来のビジネスモデルの改善に着手している。

加盟店の持続的な成長に向けた行動計画を2019年4月に発表し、当該行動計画に沿って、オーナーヘルプ制度等の充実や、加盟店アンケートの実施といったコミュニケーション強化などの施策を実施している。

グループシナジー創出に向けた施策の深耕

首都圏食品戦略については、2020年6月1日付で商号変更を行った「株式会社ヨーク」のもとで、「食品館」「ザ・プライス」の20店舗と「コンフォートマーケット」を統合する再編を行った。このように首都圏のマーケット環境に適した新たな店舗フォー マットの確立と製配販一体型マーチャンダイジングの強化によるシナジーの最大化を図っていく。

デジタル・金融戦略においては、更なるお客様満足度及びLTV(ライフ・タイム・バリュー、顧客生涯価値)の向上を図っていく。そのためにCRM(顧客関係管理)の深耕や、ネットスーパー・ネットコンビニ等のサービス拡充等による生産性向上について取り組みを推進していく。また、技術革新によるキャッシュレス社会の進展に合わせて、グループ全体で1日約2,500万人が来店する店舗網を持つ強みを活かした魅力的な金融サービスを提供していく。

情報セキュリティ体制の強化

セブン&アイ・ホールディングスグループでは2019年7月、バーコード決済サービス『7pay(セブンペイ)』を開始したが、一部アカウントに対する不正アクセスが発生した。この事態を受け、対応について検討を重ねた結果、既存のスキー ムに基づいたサービス提供の継続が困難であるとの判断に至り、2019年9月30日をもって当該サービスを廃止した。不正アクセスが発生したことを受け、再発防止策として、セキュリティに関するポリシー、ガイドライン等の再整備、セキュリティ意識をグループ内に浸透させるための社内教育等の取り組み等の対応を進めている。

加えて、 セブン&アイホールディングスは、グループIT領域及びデジタル領域に関する戦略立案、IT セキュリティの強化等を推進するために、「グループIT戦略推進本部(現:グループDX戦略本部)」を設置した。併せて、業務執行から独立した組織として、グループの情報管理及び情報セキュリティに関する業務を統括する「セキュリティ統括室」を設置した。

セブン&アイホールディングスは、情報セキュリティが、消費者に提供するサー ビスの一つとして欠かせないものであるという認識を踏まえ、情報セキュリティの強化をより一層図っていく。

経済価値と社会価値の両立

セブン&アイ・ホールディングスグループは、様々な社会課題に対応し、豊かな社会づくりに貢献することを目指しながら成長してきた。一方で、事業活動に伴い、CO2・廃プラスチック・フードロス等の環境負荷を発生させている。セブン&アイホールディングスは、「CO2排出量削減」、「プラ スチック対策」、「食品ロス・食品リサイクル対策」、「持続可能な調達」の4つのテーマで、持続可能な社会の実現に取り組んいく。

人財育成及び働き方改革

セブン&アイホールディングスは、これらの諸課題への取り組みを支える全ての従業員が、働きがいを持って仕事ができる環境を整備することは、将来にわたっての重要な課題と捉えている。

法改正を踏まえた、長時間労働の抑制、多様かつ柔軟な働き方を支援する制度の拡大はもちろん、技術革新等も踏まえた生産性向上の施策も随時導入していく。併せて、仕事に対するモチベーションを高めつつ、社会構造の変化に迅速に対応できるよう、評価制度、研修・教育制度の強化も実施していく。

2020年2月期 有価証券報告書(提出日:2020年5月28日)