Twitter, Inc.の歴史・創業ストーリー

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時価総額 527億5357万 ドル
銘柄コード TWTR(NYSE)

ツイッターは米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社をおくインターネット企業。
2006年に創業、2013年ニューヨーク証券取引所に上場。
140字以内の「ツイート」と呼ばれる投稿ができるソーシャルネットワークサイト「Twitter」を運営。
月ごとのアクティブユーザーは3億人超。日本国内では4500万人。
初期に中心開発者だったジャック・ドーシーがCEOを務める。


2006年3月 ジャック・ドーシー氏が初のツイート投稿を行う
2008年10月 ジャック・ドーシー氏がCEOを解雇され、実権のない会長職に就任
2011年4月 Twitter Japan株式会社(日本法人)設立
2013年8月 アニメ映画「天空の城ラピュタ」の放送時間内での「バルス」ツイートで、1秒間のツイート数が世界新記録(14万3199件)を達成
2013年11月 Twitter社、ニューヨーク証券取引所に新規上場
2015年9月 ジャック・ドーシー氏がCEOに再任
2017年 第3四半期単体で初の営業黒字化を果たす
2019年 第4四半期時点で、収益化可能な1日あたりのユーザー数(mDAU)が世界全体で1.5億人突破

「2017年最高のCEO」と言われたジャック・ドーシーとは何者なのか(前編)

今回はちょっと趣向を変えて、経営者にフォーカスを当ててみたいと思います。

取り上げるのは、TwitterとSquareという二つのテクノロジー企業でCEOを務めるジャック・ドーシー氏です。

彼は、これら二つの企業の実質的な創業者でもあります。

Twitterの発案者として最初コードを書いていたのがジャック・ドーシーであり、Twitterを追い出された後に創業したのがSquareです。

今となっては、どちらも時価総額2兆円を超える企業になりました。

Twitterの時価総額は現在224億ドル。

Squareに至っては時価総額348億ドルにまで拡大しています。

2社を合計すると572億ドルで、日本円に直すとだいたい6.4兆円です。

日本では最も勢いのあるベンチャー企業「メルカリ」の時価総額が5116億円。

少し乱暴ですが、ざっくりメルカリ12個分の企業価値を過去10年ちょっとの間で作り上げたのがジャック・ドーシーというわけです。

(ウォルト・ディズニーの取締役も務めています)


舵取りを間違えば会社全体が危機に瀕するし、素晴らしいビジョンがあれば大きく飛躍させられるのが経営者という存在。

結果を残している経営者について理解を深めるのは有用なことだと思います。

そこで今回は、「2017年最高のCEO」と言われたジャック・ドーシーとは一体どんな人物なのかについてまとめてみたいと思います。


少年時代から「交通制御(Dispatch)」に情熱を抱く

ジャック・ドーシーは1976年、ミズーリ州セントルイスで生まれました。

父親ティムは地元の事業家で、若くして親友とともにピザレストラン「Two Nice Guys」を創業。

レストランが軌道に乗ったので、「スタッフとの恋愛禁止」というルールの下で従業員を雇いますが、ティム自身が従業員マーサと恋に落ちてしまいます。

会社を手放す代わりにその女性と結婚し、生まれたのがジャック・ドーシーです。


子供の頃は生まれつきの言語障害があり、うまく喋ることができなかったそうです。

両親の熱心な治療のおかげもあって克服しましたが、コミュニケーションについて苦手意識を持つ要因となりました。

言語障害に悩んでいたドーシー少年は、市バスに乗って街を眺めることが大好きでした。

都会に憧れを持っていた彼は、近所を散策してはニューヨークやサンフランシスコに思いを馳せていたそうです。

町を回っては地図を眺めて空想にふけっていましたが、やがて紙の地図では飽き足らなくなります。

そこで、プログラミングを使ってコンピューター上に地図を映しだし、好きなように「ドット」をぶち込んで遊ぶようになります。


インターネットが使われるようになると、救急車やパトカーなどが「いつ」「どこに」「なんのために」向かっているのかを公開していることを知ります。

ドーシーはそのデータを使って、地図上に緊急車両がどう動いているかをプロットするシステムを開発。

そのようなシステムは「制御センター」で使われていると知ったドーシーは、「残りの人生は全て制御(dispatch)に懸けよう」と考えていたそうです。


高校までを地元で過ごしてミズーリ大学ローラ校に進学し、コンピュータ・サイエンスなどを学びます。

世界最大の「制御センター」がニューヨークにあると知ったドーシーは、ウェブサイトの欠陥を見つけて社員全員分のメールアドレスを取得します。

そこで、CEOや会長のメールアドレス宛に「ウェブサイトに欠陥があるけど、こうやったら直せるよ。ちなみに、僕は制御システムを開発できるよ」と送信します。

それから1週間後にはニューヨーク大学(NYU)に入り、その会社で働き始めます。

その会社(Dispatch Management Services)では、タクシーや911(アメリカの緊急時の電話番号)の制御センターを運営していました。

ドーシーが制御センターの創業者ととても仲良くなった当時(1999年ごろ)、世の中は「ITバブル」に浮かれているタイミングでした。

彼らとともに新しい会社を始めることになったドーシーは、大学を辞めてサンフランシスコに引っ越します。

Webを活用した制御センターを作ろうと、お金も集めて人材も集めましたが、事業は失敗。

ITバブルの崩壊による影響をモロに食らい、パートナーだったグレッグは株式を投資家から買い戻して終了しました。


「交通制御システム」をコミュニケーションに活かしたのがTwitter

最初のスタートアップを失敗したドーシーは、契約社員のプログラマーとして食いついないでいました。

2005年には28歳になり、そのような状況を変えたいと思いながらも変えられずにいました。


いつものように行きつけのカフェでコードを書いていると、『Blogger』をGoogleに売却したことで有名なエヴァン・ウィリアムズ(Ev)が店に入ってきたことに気がつきました。

ドーシーは彼を一方的に知っているだけでしたが、Evのメールアドレスを検索して履歴書を送りつけ、社員に応募。

当時、Evはノア・グラスとともに「オデオ」というスタートアップを経営していました。

オデオ社はポッドキャストのプラットフォームを作ろうとしており、有能なプログラマーであったドーシーを雇い入れ、ドーシーもすぐに馴染みました。

ところが、オデオ社のポッドキャスト事業はうまくいっておらず、やがてアップル社が「iTunesにポッドキャストを追加する」と発表

これによって事業は完全に行き詰まり、ドーシーもオデオ社を辞めることを考えるようになります。

Ev自身も会社をたたむことを考えていましたが、ノア・グラスはなんとか会社を助けようと、社員からアイデアを募集していました。

そんな中でジャックが、ノアに対して「ステータス」という構想について話し始めます。

2000年のはじめ、ジャックは「Blogger」と競合する「ライブジャーナル」というブログサービスを使っていました。

特徴の一つは、現在の状況をショートメッセージで書き込めるというもの。

ドーシーは、その機能を切り出して自分のウェブサイトに移せないかと考え、試作品まで作っていました。

ブラックベリーでそれを使ってみましたが、他に誰もブラックベリーを持っていなかったため成功しそうにありませんでした。


それから6年後、一緒に働いているノアに対してそのアイデアを話したのです。

2006年2月、ノアはドーシーとともにEvとビズ・ストーンに対して「ステータス」のアイデアを話しました。

四人はこのアイデアを気に入り、ドーシーとビズ・ストーンの二人に「秘密で」このプロジェクトに取り掛かるよう命じます。


やがてノアが「小鳥のさえずり」という意味の「Twitter」という名称を辞書から見つけ出し、2006年3月21日にサービスを公開。

ドーシーによる最初のツイートは、あまりにも有名です。

ジャック・ドーシーによる最初のツイート

ドーシー自身の説明によると、Twitterの「友人をフォローする」というアイデアは、かつて夢中になっていた「制御センター」のシステムが元になっているそうです。

そこでは、救急車やパトカーが「今、何をしているか」というステータスを発信し、制御センターにいる人たちはその状態をフォローしている。

それと全く同じ構造をコミュニケーションに活用したのが「Twitter」というわけです。

Twitterは公開から半年くらいは「使い方がよくわからない」という評判で、かなり低調だったようです。

しかし2007年3月に開催されたアメリカのITカンファレンス「サウスバイサウスウェスト」ではブログ部門で優勝


プロジェクト開始に大きな役割を果たしたノア・グラスは既に会社から追放されていましたが(Twitterを支配しようと偏執的になったため)、優勝の様子を客席から動画に撮ってYouTubeにあげています。

ジャック・ドーシーが、優勝に際して超短いスピーチをしています。

話す内容はもう一人の創業メンバーであるビズ・ストーンが考えたそうで、「みなさんに140字以下で感謝を述べたいと思います。つまり、これで終わりです」と言っています。

この優勝から数ヶ月でTwitterの人気は爆発。初代CEOにはジャック・ドーシーが任命されました。

カリスマ性などカケラもないと思われていたドーシーが、徐々にリーダーシップを発揮し始めていたのでした。

後編に続く)


参考資料

Profile Twitter founders: Jack Dorsey, Biz Stone and Evan Williams

Why Twitter's Jack Dorsey Is the Best CEO of 2017

Twitter創業者ジャック・ドーシー氏、より生産的である方法を明かす PCは使っていない

語るよりカタチにせよ、ツイッター創業者J・ドーシーの「巻き込み力」

【バロンズ】ツイッターとスクエア、ドーシー氏による再生

EXCLUSIVE: An Interview With Twitter's Forgotten Founder, Noah Glass