シスメックス 事業内容・ビジネスモデル

フォロー
時価総額 2兆9388億4800万 円
銘柄コード 6869(市場第一部(内国株))

シスメックス株式会社は兵庫県神戸市に本社を置く企業。前身である「東亞医用電子株式会社」は、東亞特殊電気(現:TOA株式会社)の血球計数装置を販売する会社として1968年2月に設立。1998年10月、シスメックスに社名変更。血液検査や尿検査等の医療用検査製品の開発、製造・販売及びサービス等のヘルスケア事業を中心とし、医療用ロボットのマーケティング、開発、製造・販売事業も展開。


事業内容とビジネスモデル

シスメックス株式会社は、兵庫県神戸市に本店を置く日本企業。検体検査に関連する製品およびサービスを提供する「ヘルスケア事業」を主な事業とする。

日本国内では、主にシスメックス株式会社が製品の開発、製造、販売およびサービスを担当し、一部の製品の開発、製造および販売を連結子会社が担う。また、海外では、米州、EMEA、中国およびアジア・パシフィックの各地域において、製品の製造、販売等を行う。

沿革

1968年2月、東亞特殊電機株式会社(現TOA株式会社)が製造する血球計数装置の販売会社として東亞医用電子株式会社を設立。1978年2月にはブランドを「Sysmex」(シスメックス)に変更した。

1980年10月にはドイツにトーア メディカル エレクトロニクス ドイチュラント ゲーエムベーハー(現シスメックス ヨーロッパ ゲーエムベーハー)を設立。1991年5月には、英国にトーア メディカル エレクトロニクス ユーケー リミテッド(現シスメックス ユーケー リミテッド)を立ち上げた。 1994年4月には、形式上の存続会社である東亞医用電子株式会社に吸収合併した。

1995年3月にはドイツにおける代理店・デジタナ社を子会社化し、社名をシスメックス ゲーエムベーハー ドイチュラント(現シスメックス ドイチュラント ゲーエムベーハー)に変更。同年11月には、大証二部に株式を上場。翌年7月には東証二部に上場した。 1997年2月、米国にシスメックス インフォシステムズ アメリカ インク(現シスメックス アメリカ インク)を立ち上げ、翌年2月には、シスメックス シンガポール ピーティーイー リミテッド(現シスメックス アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド)を設立した。 1998年10月、社名をシスメックス株式会社に変更。

2000年1月には、中国に希森美康医用電子(上海)有限公司を立ち上げ、同年3月には、東証一部および大証一部に指定。そして、フランスにシスメックス フランス エスエ―アールエル(現シスメックス フランスエ スエーエス)を設立した。

2001年8月、国際試薬株式会社(現シスメックス国際試薬株式会社)を子会社化。続いて翌年10月には株式会社アール・エー・システムズ(現シスメックスRA株式会社)、そして2004年4月には株式会社シーエヌエー(現シスメックスCNA株式会社)をそれぞれ子会社化した。 2013年4月には韓国代理店を子会社化し、社名をシスメックス コリア カンパニー リミテッドに変更。続く2014年6月には、個別化医療における遺伝子検査事業の発展のため、株式会社理研ジェネシスに資本参加した。

2015年10月には、ガーナにシスメックス ウエストアンドセントラルアフリカ リミテッドを設立。続く2016年5月には、ミャンマーにシスメックス アジア パシフィック ピーティーイーリミテッドの支店を立ち上げた。また、株式会社理研ジェネシスの株式を追加取得して子会社化した。 2017年4月には、シスメックスハーモニー株式会社を設立。同年5月、シスメックス タイワン カンパニー リミテッドが台湾代理店の三東儀器股份有限公司の事業を譲受。同年6月には、英国のオックスフォード ジーン テクノロジー アイビー リミテッドの株式を取得して子会社化した。

2018年4月、エジプトにシスメックス エジプト エルエルシーを立ち上げ、同年10月には、株式会社JVCケンウッドとともに新会社クリエイティブナノシステムズ株式会社を共同設立した。また、ドイツにシスメックス アールアンドディー センター ヨーロッパ ゲーエムベーハーを設立した。

2019年4月には、新たなバイオ診断薬拠点「テクノパーク イーストサイト」を開設。そして、米国にシスメックス アールアンドディー センター アメリカズ インクを設立した。

事業内容

シスメックスグループの主な事業は「ヘルスケア事業」で、シスメックスと連結子会社76社および関連会社等2社が携わる。「ヘルスケア事業」では、主に検体検査に関連する製品および関連サービスを提供している。

日本国内では、主にシスメックスが製品開発、製造、販売およびサービスを担当し、一部の製品開発、製造および販売を連結子会社が担う。また、海外では、米州、EMEA、中国およびアジア・パシフィックの各地域において、製品の製造、販売等を地域によって66社が分担している。

主要な連結子会社等の主な事業は「検体検査試薬の製造」と「検体検査機器および検体検査試薬の販売」である。

「検体検査試薬の製造」には、シスメックス国際試薬株式会社、シスメックス ヨーロッパ ゲーエムベーハーおよびシスメックス アジア パシフィック ピーティーイーリミテッドが携る。

そして「検体検査機器および検体検査試薬の販売」には、シスメックス アメリカ インク、シスメックス ヨーロッパ ゲーエムベーハー、シスメックス ドイチュラント ゲーエムベーハー、シスメックス ユーケー リミテッド、シスメックス フランス エスエーエス、シスメックス ルース エルエルシー、希森美康医用電子(上海)有限公司、シスメックス アジア パシフィック ピーティーイーリミテッドおよびシスメックス コリア カンパニー リミテッドなどが携わる。

また、「日本医療用ロボットのマーケティング、開発および販売」はシスメックス関連会社である株式会社メディカロイドが担当している。

経営方針

シスメックスグループは、創業以来の経営基本方針である「3つの安心」の価値観を受け継ぐ企業理念「Sysmex Way」を2007年4月に制定した。この「Sysmex Way」は、ヘルスケアの進化をデザインする「Mission」、独創性あふれる新しい価値の創造と人々への安心を追求し続ける「Value」そして情熱としなやかさをもって、自らの強みと最高のチームワークを発揮する「Mind」の3つを柱に、シスメックスグループの進むべき方向性と大切にすべき価値観を表している。 また、シスメックスグループはこの企業理念「Sysmex Way」に基づき、顧客、従業員、取引先、株主、社会に対する提供価値を示した「行動基準」をあわせて制定している。

このように、シスメックスグループでは、企業理念「Sysmex Way」をグループ全体で実践し、社会からのより厚い信頼とさらなる飛躍を目指すとしている。

経営環境と中長期的な経営戦略

医療を取り巻く環境は、先進国の高齢化進展、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりを受け、人口知能(AI)、情報通信技術(ICT)などの最新技術を取り込んだ構造的な変革が進展しつつあり、さらなる成長機会が見込まれている。

シスメックスグループでは、新たな中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)を掲げ、長期ビジョンに基づくポジショニング目標達成に向けて、グループの力強い成長持続の実現とそれを支える経営の高度化に向けた変革を推進するとしている。

具体的な戦略としては、持続的成長とそれを支える経営基盤強化のため、血球計数検査・尿検査・血液凝固検査・免疫検査分野といったIVD(※)事業における地域の特性に応じた製品ラインアップの拡充と販売・サービス体制の強化に取り組む。加えて、ライフサイエンス事業における個別化医療に資する新たな診断価値創出に加え、高品質な製品のより迅速な市場導入を実現するバイオ診断薬拠点の稼働や、品質保証体制、薬事・臨床開発機能などの事業を支える体制の強化により持続的成長の実現を目指す。

また、グループの目標実現に不可欠な人材の獲得・育成とともに、企業経営の効率化と新たな価値創造に向けたビジネスプロセスの変革を推進する。そして、多様なステークホルダーから支持され続ける会社を目指し、環境へ配慮した製品ライフサイクルの推進、社会への貢献、ガバナンスやリスクマネジメントなどの強化にも取り組んでいくとしている。

経営戦略の実行における課題

シスメックスグループでは経営戦略の実行において、「IVD事業の成長力再強化」「ライフサイエンス事業化スピードの加速」「品質/品質保証機能の強化」「事業を支える薬事/臨床開発機能の強化」「デジタル化によるビジネスプロセス改革」「人材マネジメントの変革」の6つの課題を軸に、ポジショニング目標達成に向け取り組んでいくとしている。

重要な課題のひとつである「IVD事業の成長力再強化」においては、中期経営計画期間内にさらなる商品開発力を強化するとしている。各分野においては、「血球計数検査分野」のマーケットニーズに合わせた製品の市場導入と、販売体制の強化に努める。次に「尿検査分野」で尿定性検査製品のグローバル展開を加速、尿沈査検査とあわせた尿検査の効率的なワークフローの実現を目指す。

そして「血液凝固検査分野」では、全自動血液凝固測定装置「CN-6000/CN-3000」の導入加速、シーメンス社とのアライアンスおよび自社試薬のポートフォリオ拡充によるシェア拡大を推進する。

さらに「免疫検査分野」では、主に肝疾患領域のユニーク項目の開発および試薬項目の認可数増加を目指し、中国・アジアにおける機器設置台数の増加と、肝臓の線維化検査用試薬であるHISCL™ M2BPGi試薬などの既存ユニーク項目を含む試薬の市場導入を加速させる。また、バイオ診断薬の原材料、診断薬開発、生産、物流を一貫して行うバイオ診断薬拠点「テクノパーク イーストサイト」において、試薬製品の競争力向上と安定供給の強化に取り組む。最後に「FCM事業分野」では、クリニカルFCMの早期事業化に向け、機器、試薬の開発・市場導入を加速し、医療資源が限定される国や地域に対して、WHOの事前承認を取得した「CyFlow™ Counter System」の導入を推進していくとしている。

2つ目の課題として「ライフサイエンス事業化スピードの加速」を掲げ、OSNA™法を用いたがんリンパ節転移迅速検査のがん種拡大とグローバル展開に加え、FISH検査試薬を有するオックスフォード ジーン テクノロジー アイピー リミテッドとのシナジーにより事業の収益拡大を推進する。

また、2019年6月に日本で初めて保険適用を受けた「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」、理研ジェネシスにおける受託アッセイサービスによるがんゲノム医療の体制強化に加え、2019年8月に日本初の体外診断用医薬品として製造販売承認を取得したシスメックス アイノスティクス ゲーエムベーハーの「OncoBEAM™ RAS CRCテスト」や、高感度HISCLのアプリケーション拡大によるリキッドバイオプシー検査市場への参入により、個別化医療に資する新たな診断価値創出に取り組むとしている。

次に「品質/品質保証機能の強化」に関しては、顧客に信頼され続ける高い品質と安定供給体制の強化に向けて、品質保証体制の強化、商品開発段階における設計品質の向上、量産品質の更なる向上を図る。

続いて「事業を支える薬事/臨床開発機能の強化」に関しては、関連法規制の厳格化が進む環境下でもタイムリーに新製品を市場へ導入し、早期の事業機会獲得を実現するため、グローバルでの製品性能評価体制の強化などに取り組むとしている。

さらに「デジタル化によるビジネスプロセス改革」に関しては、企業体質の強化および新たな価値創造に向けたビジネスプロセスの改革をグローバルに推進するため、次世代基幹システムやデジタル基盤の刷新を目指す。

最後に、「人材マネジメントの変革」に関しては、持続的な成長を支える次世代リーダーと高度専門人材の獲得および育成を強化するため、グローバルポリシーの制定など人材マネジメントの変革を推進するとしている。

※IVD(in vistro diagnostics):一般的には血液や尿などの検体を用いて身体状態を診断する体外診断を示す。ここでは、体外診断を行うために実施される検体検査の領域を示す。