ランサーズ 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 67億7000万 円
銘柄コード 4484(マザーズ(内国株))

ランサーズは東京都渋谷区に本社を置く企業。2008年に「株式会社リート」として設立。2012年にランサーズ株式会社に社名変更。2019年に東京証券取引所マザーズに株式上場。グループは、仕事を依頼したいクライアントと仕事を受けたいユーザーをオンライン上でマッチングさせる、フリーランスプラットフォーム「Lancers」を運営。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

ランサーズ株式会社は、東京都渋谷区に本社を置くクラウドソーシング関連企業。2008年4月、秋好陽介氏によって「株式会社リート」の名称で創業された。同年12月にクラウドソーシングサービス『Lancers』をリリース。2014年に法人向けの一括業務委託サービス『Lancers for Business』(現『Lancers Outsourcing』)の提供を開始、また、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)と業務提携。2017年には一般社団法人シェアリングエコノミー協会の認証を取得した。2018年に新生銀行株式会社と連携し、フリーランス向けクレジットカード『FreCa』を開発・発行するなど新たな取り組みも進めている。2019年12月、東京証券取引所マザーズに株式を上場。

ミッション

ランサーズグループのミッションは「個のエンパワーメント」であり、ビジョンとして「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」を掲げている。

インターネットの可能性を最大限に活かして、多くの人がもっと便利に、もっと自由に、もっと自分らしく、笑顔で生活し続けられる社会の実現と、雇用形態に依存しない「働き方の変革」を実現するべく事業活動を行っている。

事業内容

ランサーズは、仕事を依頼したいユーザー(クライアント)と仕事を受けたいユーザー(ランサー)をオンライン上でマッチングさせるフリーランスプラットフォーム『Lancers』を運営している。指名発注型「オンラインスタッフィングプラットフォーム」と不特定多数へ発注する「クラウドソーシング」の2つの領域においてサービスを提供している。

クライアントが依頼し、ランサーが受注できる仕事は270種類以上あり、その主要な仕事内容として、システム開発・運用、デザイン・クリエイティブ制作及び記事作成などがあげられる。クライアントに対しては、オンライン上で、必要なときに必要な分だけ、他の手法と比較して短期間で、様々な業務の依頼ができるという価値を提供している。

一方でランサーに対しては、オンライン上で働けることから、自分の能力を活かした仕事が選べる、好きな時間・場所で働ける価値を提供している。

ランサーズグループのクライアントは大手企業からベンチャー企業まで幅広く、累計登録クライアント社数は40万社、累計登録ランサー数は115万人を上回る。

ランサーズグループはプラットフォーム事業の単一セグメントである。

運営サービス

ランサーズグループは、クライアントによる仕事の依頼(発注)フローの違いに基づき、オンラインスタッフィングプラットフォーム領域とクラウドソーシング領域の2つの領域においてサービスを提供している。

オンラインスタッフィングプラットフォーム領域

オンラインスタッフィングプラットフォーム領域では、クライアントがフリーランスの持つスキルや実績、評価などを元に、特定のフリーランスを選択して依頼(発注)を行うことで、マッチングが成立する。

クラウドソーシング領域

クラウドソーシング領域においては、クライアントが不特定多数のフリーランスに対して仕事の募集を行う。その募集に対してフリーランスが提案を行い、クライアントは提案の中から成果物を採用することでマッチングが成立する。

発注方式の違い

このように同じプラットフォーム事業においても、特定のフリーランスに依頼(発注)するのか、不特定のフリーランスに依頼(発注)するのかで仕事の依頼(発注)フローが異なる。

オンラインスタッフィングプラットフォーム領域において展開するサービスは、フリーランスに直接発注がなされるサービス『Lancers(プロジェクト方式)』、人が介在し、厳選フリーランスを紹介するその他サービス『Lancers Agent(Lancers Agent・PROsheet)』、『Lancers Outsourcing』および『その他(Lancers PRO、Lancers Assistant及びLancers Enterprise)』がある。

クラウドソーシング領域において展開するサービスは、『Lancers(コンペ・タスク方式)』がある。コンペ方式は、クライアントが複数の提案の中から意向に沿ったものを選ぶ方式で、プロジェクト方式との違いは「コンペ方式は最終完成物に近い形でランサーからクライアントへ提案が行われること」「採用された場合の報酬額が予め決められていること」にある。

タスク方式は、多数のランサーが同時に1つの依頼作業を行う仕事方式で、簡単なテキスト作成やデータ入力、アンケートへの回答等、1人当たりが行うべき仕事量は少なく、専門性も高くない仕事に向いている。クライアントによる事前の審査はなく、ランサーは決められた条件の範囲で自由に仕事を開始できる。クライアントは成果物を随時確認して、1件ごとに承認の可否を判断し、承認した件数の分だけ報酬を支払う。

経営方針

ランサーズグループは、「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」を企業ビジョンとし、雇用に依存しない働き方の選択肢を広げ、時間と場所にとらわれない新しい働き方を生み出していく。

経営指標としては、ランサーズグループのサービス経由で取引される金額の総額である流通総額と、クライアント及びランサーへ提供される付加価値を示す売上総利益(流通総額にテイクレートを乗じて算出されるもの)の最大化を重視した経営を行っている。

現在は市場の黎明期であると考えているため、手数料を高めることよりも、流通総額を最大化することを企図しており、流通総額を構成するクライアント数とクライアント単価を増加させることで継続的に成長を実現していくことを目指している。

プラットフォームの強みと特長

信頼を可視化するテクノロジー

ランサーズグループは、実名、顔写真の入力を推奨している。クライアントがプラットフォームで得られるランサー情報は多岐にわたるが、実名・顔写真が見えることで、信頼性の高いランサーが多数在籍していることを認識できると考えている。ランサーズグループではこのように実名や顔写真を登録し、さらにプロジェクト完了率や評価などを含めた一定の基準をクリアしたランサーを「信頼ランサー」と読んでおり、ランサーズグループ独自のアルゴリズムを用いてスコアの高いランサーからクライアントに候補者として表示される仕組みを構築している。

信頼を活かすマッチングアルゴリズム

クライアントがプラットフォーム上で依頼を行うと、AIによって依頼内容と金額を過去の類似案件データの成約率や独自に調査した市場データなどの情報から査定され、適正な価格の案件を識別できるようになっている。またランサーについても、上述した仕組みのとおり、信頼したランサーでかつスキルがクライアントに0図に合致したランサーが上位に表示される設定になっている。

信頼できるランサーを増加させる仕組み

ランサーの中でも特に信頼ランサーを増加・定着させる仕組みとして、「Freelance Basics」、「新しい働き方LAB」、「Lancer of the Year」などの取り組みを行っている。「Freelance Basics」は、フリーランスになる、もしくはフリーランスを続ける際に弊害となる福利厚生の提供や、法務や経理などの管理業務をサポートするサービスである。また、「新しい働き方LAB」がランサー向けのコミュニティ拠点を国内外に18箇所持ち、フリーランス同士のコミュニティの活性化や教育機会の提供、およびチーム単位でクライアントからの依頼を受ける仕組みの提供を行っている。また、「Lancer of the Year」ではランサーを表彰するイベントで、ランサーのやる気の向上を図っている。

成長戦略

短期的な成長戦略においては、日本においてオンラインスタッフィングプラットフォーム領域の主力企業に成長し、ユニークなポジションを築いていると考えており、現在、ランサーズグループの流通総額全体におけるオンラインスタッフィングプラットフォーム領域の流通総額の割合は約9割となっている。

短期的には、ランサーズグループを取り巻く事業環境を好機として、日本におけるオンラインスタッフィングプラットフォーム市場を定着・拡大させ、当該市場における圧倒的なポジショニングを獲得することを目指している。

そのために、従来フリーランスを活用していなかった企業に対するセールス活動を強化し、積極的な社外人材活用の必要性を広く啓蒙し、ランサーズグループのサービス利用を促進していく方針だ。

中長期的な成長戦略においては、ランサーズグループのサービス利用を通じて獲得したランサーおよびクライアントのしごとの実績データを活かして、直接雇用を含めた雇用、人材活用および人材管理領域におけるサービスの提供や、スコアリングを活用した周辺事業への進出などを検討していく。また、ランサーズグループのミッションを実現するために必要になるサービスやユーザーの獲得などを引き続き積極的に行うことを予定しており、M&Aなども行っていく方針である。将来的には、労働人口の減少や超高齢化社会という日本社会の課題と同様の課題を抱える国に対して、ランサーズグループのサービスを提供するべく海外進出も検討していくとしている。

優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

広義のフリーランス市場の拡大と業界の健全な発展

2020年における広義のフリーランスは1,034万人となり、その経済規模は17兆円にのぼる。市場の拡大は国策としての働き方改革や、企業における新しい働き方に関する制度導入、個人の働き方に対する価値観の変化等が影響している。

このように急成長を続ける市場の中で、ランサーズグループは国内におけるオンラインスタッフィングプラットフォームおよびクラウドソーシング領域の主要企業として、各種の業界団体での活動やフリーランスを支援する取り組み、品質向上委員会の活動等、市場の認知度拡大・啓蒙活動や業界の健全な発展に引き続き努めている。

プラットフォーム事業の継続的な成長と発展

ランサーズグループが継続的に成長していくためには、既存サービスのクライアント数及び単価を拡大すると同時に、新規事業や新市場の開拓にも取り組んでいく必要がある。ランサーズグループはさらなる発展に向けて、業界の主要企業としての実績を軸とした強固な顧客基盤やブランドの確立に努めつつ、これまでに蓄積された仕事実績のデータ資産やプラットフォーム運営ノウハウを活かした新規事業領域の開拓に積極的に取り組んでいる。

サイトの安全性と健全性の確保

ランサーズグループのサイトにおいては、取引のプロセスにおいて、発注側の企業(クライアント)と受注側の個人(ランサー)の間で直接コミュニケーションが発生するため、双方のユーザーが安心してランサーズグループのサービスを利用できるように、サイトの安全性と健全性を確保する必要がある。ランサーズグループは、取引における明確なガイドラインを設定するとともに、取引内容の監視を常時行っており、今後もこの取り組みを維持・継続し、サイトの安全性と健全性の確保に努めている。

システムの安定性強化と運用管理体制の構築

ランサーズグループはインターネット上で重要な個人情報に係るサービスを展開しているため、サーバーレスポンスの観点のみならず、セキュリティの観点からも安定的なシステム体制を構築し運用していくことが重要となる。そのため、突発的なアクセス増加にも耐えられるサーバー設備強化を行っていくとともに、ランサーズグループが提供するサービスを支える人員の確保、社員教育の実施を行いながらセキュリティ管理体制の構築と改善に努めている。

新技術への対応

ランサーズグループが属するIT業界では技術革新が絶え間なく行われており、近年では、ブロックチェーン技術やAIによる機械学習、ビッグデータ分析等の技術進化が目覚ましい。このような技術発展の著しいIT業界において継続的に成長し、新規事業を創出していくためには、新しい技術を取り込んでいくことが重要となる。近年実用化に向け各社が取り組んでいるブロックチェーン技術やAI等の技術をプラットフォームでのマッチング精度向上や信頼ランサーのスコアリング等に活かすべく、エンジニアの採用・育成や技術投資等を積極的に行っている。

優秀な人材の採用と企業文化の醸成

事業の継続的な成長を実現するためには、優秀な人材を採用すると同時に、全従業員が経営方針を理解して、強い企業文化を醸成していくことが重要となる。ランサーズグループは、「最高か最速」、「プロフェッショナル」、「チーム・ランサーズ」という行動指針を掲げ、ユニークな企業文化をグループ全体でさらに浸透・発展させるべく、時代に沿った新たな人事制度の構築を行ってきた。今後も優秀な人材を確保すべくランサーズグループのブランド向上と企業文化の浸透に努めていく。

経営管理と内部管理体制の強化

ランサーズグループは、事業の継続的な成長を実現していくために、経営管理体制のさらなる強化・充実が必要不可欠であると考えている。事業成長に伴って組織が拡大していく中で、経営指標のモニタリングや会議体の設計・運用等を通して、組織の健全かつ効率的なマネジメントに取り組んでいる。また今後さらなる事業拡大を図るために、事業基盤を盤石にさせることが重要な課題であると認識している。そのために、従業員に対して業務フローやコンプライアンス、情報管理等を徹底認知させ、内部管理体制強化を図るとともに業務の効率化を行っている。


2020年3月期 有価証券報告書(提出日:2020年6月26日)