楽天グループ 事業内容・ビジネスモデル

フォロー
時価総額 1兆7504億5800万 円
銘柄コード 4755(市場第一部(内国株))

楽天は東京都世田谷区に本社をおく企業。
1997年エム・ディー・エムとして設立、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』を開始。
1998年には『楽天スーパーオークション』を開始。2000年株式を店頭登録(現 JASDAQ)。
2001年インターネット上の宿泊予約、総合旅行サイト『楽天トラベル』を開始。
2011年には『楽天市場』流通総額1兆円を突破。2013年東証一部に上場。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

楽天は東京都世田谷区に本社をおく企業。1997年に三木谷浩史氏によってエム・ディー・エムとして創業され、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』を開始した。1998年には『楽天スーパーオークション』を開始。2000年株式を店頭登録(現 JASDAQ)。2001年インターネット上の宿泊予約、総合旅行サイト『楽天トラベル』を開始。2011年には『楽天市場』流通総額1兆円を突破。2013年東証一部へ市場変更した。

事業内容

楽天は『楽天市場』などの「インターネットサービス事業」、『楽天カード』といった金融サービスを運営する「フィンテック事業」、移動通信サービスを提供する「モバイル事業」という3つの事業を展開している。

インターネットサービス

『楽天市場』などの各種ECサイト、オンライン・キャッシュバック・サイト、旅行予約サイト、ポータルサイト、デジタルコンテンツサイト等の運営や、これらのサイトにおける広告等の販売、プロスポーツの運営等を展開している。

・インターネット・ショッピングモール『楽天市場』の運営
・インターネット上の書籍等の販売サイトの運営『楽天ブックス』
・インターネット上のゴルフ場予約サイト『楽天GORA』の運営
・インターネット総合旅行サイト『楽天トラベル』の運営
・生活用品や日用品を取り扱うEC関連サービスの提供
・ファッション通販サイト『RakutenFashion』の運営
・フリマアプリ『ラクマ』の運営
・オンライン・キャッシュバックサービス『Rakuten Rewards(旧Ebates)』の運営
・図書館等への電子書籍配信サービス『OverDrive』の提供 (※2020年6月10日付で全株式を譲渡
・電子書籍サービス『Rakuten Kobo』の提供
・RAKUTEN MARKETINGによるパフォーマンス・マーケティング・サービスの提供

フィンテック

インターネットを介した銀行及び証券サービス、クレジットカード『楽天カード』関連サービス、 生命保険サービス、損害保険サービス及び電子マネーサービスの提供等を行う事業により構成されている。

・クレジットカード『楽天カード』の発行及び関連サービスの提供
・インターネット・バンキング・サービス『楽天銀行』の提供
・オンライン証券取引サービス『楽天証券』の提供
・損害保険事業『楽天損害保険』の運営
・生命保険事業『楽天生命保険』の運営
・電子マネーサービス『楽天ペイ』の運営

モバイル

通信及びメッセージングサービスの提供等を行う事業により構成されている。移動通信サービスの提供や、光ブロードバンド回線サービス『楽天ひかり』、電力供給サービス『楽天でんき』などを展開している。

・移動通信サービス『楽天モバイル』の提供
・光ブロードバンド回線サービス『楽天ひかり』の運営
・電力供給サービス『楽天でんき』の運営
・IP電話サービス、クラウドサービス等の提供
・モバイルメッセージング及びVoIPサービス『Viber』の提供

インターネットサービスの事業内容・ビジネスモデル・収益認識

インターネットサービスセグメントにおいては、『楽天市場』『楽天トラベル』『Rakuten Rewards(旧Ebates)』『楽天ブックス』『爽快ドラッグ』『ケンコーコム』『OverDrive』等のサービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識している。

『楽天市場』および『楽天トラベル』

マーケットプレイス型ECサービスである『楽天市場』や、旅行予約サービスである『楽天トラベル』等においては、取引の場を顧客に提供することをその基本的な性格としている。楽天グループは、これらのサービスの運営にあたり、出店者・旅行関連事業者への出店サービスおよびシステム利用に関するサービス、楽天グループを通じた販売拡大のための広告関連サービス、出店者・旅行関連事業者と消費者の決済に関する決済代行サービス等を提供している。また、これらのサービスは諸規約に基づき、サービス内容や当事者間の権利と義務が定められており、サービスの内容の区分可能性や顧客への移転パターンに基づき、主な履行義務を下記のとおりに識別して、収益を認識している。

『楽天市場』への出店サービス:
『楽天市場』への出店サービスについて、楽天グループは規約に基づき出店者に対し契約期間に渡り、楽天グループのマーケットプレイス型ECウェブサイトへの出店サービス及び出店コンサルティングサービス等を提供する義務を負っている。当該履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間において、出店形態別に定められた金額に基づき、各月の収益として計上している。なお、取引の対価は3ヶ月、半年または1年分を履行義務の充足前である契約時に前受けする形で受領している。

システム利用に関するサービス:
システム利用に関するサービスについて、楽天グループは規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対して出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との間での個々の取引の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っている。当該履行義務は、出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との個々の取引の成立時点で充足されるものであり、当該履行義務の充足時点で、流通総額(出店者・旅行関連事業者の月間売上高)にサービス別・プラン別・流通総額の規模別に定められている料率を乗じた金額にて収益を計上している。当該金額は、履行義務の充足時点である取引成立時点から概ね3ヶ月以内に支払いを受けている。

広告関連サービス:
広告関連サービスについて、楽天グループは広告規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対し期間保証型等の広告関連サービスを提供しており、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っている。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上している。広告料金の支払いは、原則として広告掲載開始日が属する月の翌々月末までに行われる。

決済代行サービス:
決済代行サービスについて、楽天グループは、カード決済規約に基づき、楽天グループのサービスを利用する消費者と出店者・旅行関連事業者との間での決済代行サービスを提供している。当該サービスにおいては、クレジットカードによる取引代金決済のための取引承認、代金決済情報やキャンセル等のデータを送受信・処理する義務を負っている。当該サービスについては、主に消費者のカード利用取引が生じた時点が履行義務の充足時点となると判断しており、同時点で手数料収益を計上している。当該手数料の支払いは、履行義務の充足後、支払区分に基づいた請求締切日から1ヶ月半以内に受領している。

『Rakuten Rewards(旧Ebates)』

『Rakuten Rewards(旧Ebates)』においては、Rakuten Rewards(旧Ebates)会員に対するキャッシュバックを通じ、Rakuten Rewards(旧Ebates)会員による小売業者(顧客)のウェブサイトでの購入を促進するサービス(以下、キャッシュバックサービス)、ウェブサイトにおける広告掲示、個人向けターゲティングメールサービス等を提供している。

主なサービスであるキャッシュバックサービスに関しては、契約に基づきRakuten Rewards(旧Ebates)会員による小売業者のウェブサイトでの購入を促進する義務を負っており、当該履行義務はRakuten Rewards(旧Ebates)会員による購入時点が履行義務の充足時点となると判断している。Rakuten Rewards(旧Ebates)会員の購入を確認した時点で購入金額に一定の料率を乗じた金額を手数料として収益計上しており、同時にRakuten Rewards(旧Ebates)会員に対するキャッシュバック費用を計上している。

当該サービスの提供により生じる収益及び費用は、『Rakuten Rewards(旧Ebates)』が顧客およびRakuten Rewards(旧Ebates)会員とのそれぞれに対して価格設定を含む取引の裁量権を有していることから、総額にて計上しており、手数料は履行義務の充足時点である注文確定月の月末から概ね3ヶ月以内に支払いを受けている。

『楽天ブックス』『爽快ドラッグ』『ケンコーコム』

インターネットサービスのうち、楽天グループが主に楽天会員に対して商品を提供するインターネット通販サイト『楽天ブックス』『爽快ドラッグ』および『ケンコーコム』等のサービスにおいては、楽天グループ自身が売買契約の当事者となる。これらの直販型の取引においては顧客に商品が到着した時点で収益を計上している。また、履行義務の充足時期である商品到着後、概ね2ヶ月以内に支払いを受けている。なお、楽天ブックスのうち、国内における書籍(和書)販売については、再販売価格維持制度を考慮すると代理人取引としての性質が強いと判断されるため、収益を関連する原価と相殺の上、純額にて計上している。

OverDrive(※2020年6月10日付で全株式を譲渡済)

2020年6月10日まで傘下にあった『OverDrive』においては、図書館・教育機関向けに電子書籍及びオーディオブック等のコンテンツ配信サービスを提供していた。主要な顧客である図書館との契約において、楽天グループは契約に基づきコンテンツ配信、ホスティングに係るサービス及びカスタマーサポートを提供する義務を負っていた。コンテンツ配信は、図書館によるコンテンツの購入時点が履行義務の充足時点となると判断し、当該時点にて関連する収益を計上していた。

当該履行義務に関する支払いは、請求月から概ね2ヶ月以内に受領している。ホスティングに係るサービス及びカスタマーサポートの履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、当該履行義務が充足される契約期間において、期間均等額で収益を計上している。なお、取引の対価は各年度において履行義務の充足前に前受けする形で受領している。

(※2020年6月10日付で全株式を譲渡したため、グループから除外済)

フィンテックサービスの事業内容・ビジネスモデル・収益認識

フィンテック事業においては、『楽天カード』、『楽天銀行』、『楽天証券』、『楽天損保』、『楽天生命』等の金融サービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識している。

楽天カード

『楽天カード』においては、主としてクレジットカード関連サービスを提供している。主にクレジットカード利用者と加盟店間の資金決済を通じて得られる加盟店手数料、クレジットカード利用者から得られるリボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料を得ている。

加盟店手数料に関しては、カード会員のショッピング取引後、加盟店から楽天カード株式会社へ売上データが送信されたタイミングにおいて、決済サービスの提供という履行義務が充足されるため、同時点でクレジットカードの決済金額に一定の料率を乗じた手数料収益を計上している。

カード決済金額の1%分の通常ポイントをカード会員に付与しており、これらのポイント費用は加盟店手数料から控除している。

楽天カード株式会社はカード会員から基本的に1ヶ月に1回所定の日にカード利用代金の回収を行うため、履行義務充足後、概ね2ヶ月以内に実質的に支払いを受けることとなる。リボルビング払い手数料及び分割払い手数料と融資収益に含まれるキャッシング手数料に関しては、リボルビング残高、分割支払回数及びキャッシング残高に対してそれぞれ一定の料率を乗じた利息収益を、IFRS第9号に従いその利息の属する期間に認識している。

楽天銀行

『楽天銀行』においては、インターネットを通じた銀行業務(預金、貸出、為替)及びその他様々なサービスを提供している。貸出については、個人向けローンである「楽天スーパーローン」及び住宅ローンである「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」等を取り扱っており、貸出金利息収入を得ている。また、資金運用から生じる有価証券利息等の利息収入も得ている。

貸出金利息や有価証券利息等の資金運用収益は、IFRS第9号に従い、その利息の属する期間に収益を認識している。為替手数料等については、取引が行われた時点で履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を認識している。

楽天証券

『楽天証券』においては、金融商品取引業務とその他の付随業務を提供し、これら取引に付随して発生する手数料やトレーディング損益、利息等を収益の源泉としている。金融商品取引業務には、国内株式取引に加え、外国株式取引、投資信託の販売等、様々な取引が存在し、それぞれの手数料体系は異なっている。

現物株式に関する委託取引、信用取引及び投資信託の販売取引等に関連して発生する手数料に関しては、約定日等の取引成立時において履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を計上している。

現物株式取引から生じる手数料については、原則として履行義務の充足後3営業日以内に、信用取引及び先物取引から生じる手数料は建玉の決済が行われる半年から概ね1年以内に受領している。また、IFRS第9号に従い、外国為替証拠金取引については、公正価値で測定された利得及び損失が純額で売上収益に計上され、国内株式信用取引の建玉に対する金利収益については、その利息の属する期間に収益を認識している。

楽天損保

『楽天損保』については、損害保険業務を行っており、主たる商品である火災保険契約や自動車保険契約からの保険料等収入及び有価証券利息を中心とした資金運用収益を計上している。保険料等収入を構成する保険料は、IFRS第4号に従い、個別契約ごとに予め定められた保険料率により算定された金額を収益として計上している。また、資金運用収益については、IFRS第9号に従い、その発生期間に収益を認識している。

楽天生命

『楽天生命』においては、生命保険業務を行っており、主たる商品である個人向け保障性生命保険契約からの保険料等収入及び有価証券利息を中心とした資金運用収益を計上している。保険料等収入を構成する保険料は、IFRS第4号に従い、個別契約ごとに予め定められた保険料率により算定された金額を収益として計上している。また、資金運用収益については、IFRS第9号に従い、その発生期間に収益を認識している。

モバイルサービスの事業内容・ビジネスモデル・収益認識

『楽天モバイル』は、移動体通信事業者の回線網を利用するMVNO(仮想移動体通信事業者)として、主に音声通話・データ通信サービスの提供と、携帯端末の販売を行っている。通話・通信サービスについては、契約に基づき、契約者に常時利用可能な通話・通信サービス回線を提供し、当該回線を利用した通話・通信サービスを提供することを履行義務として識別している。

また、携帯端末の販売については、携帯端末を引き渡すことを履行義務として識別している。なお、複数のサービスをセットで提供する場合には、契約者から受領する対価をそれぞれの履行義務に対して独立販売価格で案分している。

常時利用可能な回線を維持する履行義務については時の経過に基づき、通話・通信サービスの提供の履行義務については回線の利用に応じて充足されると判断しており、したがって、回線の提供については契約期間に渡って収益を計上し、通話・通信サービスの提供については回線の利用状況に応じた回線使用料を各月の収益として計上している。携帯端末の販売については契約者に端末を引き渡し、回線が開通した時点で履行義務が充足されると判断しており、当該時点にて関連する収益を計上している。いずれの履行義務に対する支払いも、請求日から概ね2ヶ月以内に受領している。

経営方針

楽天グループは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーする」ことを経営の基本理念としている。ユーザーや取引先企業に満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていくことに寄与していく。

グローバルイノベーションカンパニーであり続けるというビジョンのもと、グループ全体の企業価値・株主価値の最大化を目指す。

経営指標

楽天は主な経営指標として、全社及び各事業の売上収益、Non-GAAP営業利益、流通総額(商品・サービスの取扱高)、会員数及びクロスユース率等のKPIを重視している。

中長期の経営戦略

楽天は、グループ全体の基本戦略として、国内外70以上の多様なサービスより構築される 「楽天エコシステム」の構築と拡大を中軸に据えている。

国内外の会員が楽天内の複数サービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備して、会員一人当たりの生涯価値の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果を創出し、グループ収益の最大化を目指していく。

さらに、コンプライアンスの遵守や情報セキュリティ管理を徹底し、コーポレート・ガバナンスを率先して強化していくとともに、多様性の尊重や人材の育成に継続的に取り組むことで、一人ひとりが活躍できる社会の形成にも寄与していく。

こうした取り組みを通じ、国内及び進出先国・地域の活性化、日本及び世界経済の発展に貢献し、ステークホルダーから信頼され続ける企業を目指している。

事業戦略

楽天グループが保有するメンバーシップ、データ、ブランドを核とする「楽天エコシステム」において、国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー、LTV:Life Time Value)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出、グループ収益の最大化を目指す。

インターネットサービス事業

ECや旅行予約などのインターネットサービス事業では、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指す。具体的には、ロイヤルカスタマー(=忠誠心の高い顧客)の醸成や新規顧客の獲得、クロスユースの促進に加え、「楽天エコシステム」のオープン化戦略、楽天物流網の整備・強化等に注力する。

フィンテック事業

クレジットカード関連サービスなどのフィンテック事業では、事業間の相乗効果の創出、クロスユースの促進、AIや音声認識等のテクノロジーとの融合を通じた一層の成長を目指す方針だ。

キャッシュレス決済では、決済サービス導入箇所の拡大など総合的なキャッシュレス決済の推進に取り組む。加えて、決済サービスプラットフォーム構想の実現に向け、これらの決済手段を統合したペイメントアプリの機能拡充に引き続き注力していく。

モバイル事業

モバイル事業は、今後は全国区にネットワーク展開を広げ、信頼性の高い通信サービスの提供を行うとともに、顧客基盤の拡大に取り組む方針を定めている。5G通信の普及に伴い、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」といった5Gの特性を活かした社会課題の解決が期待されている。 楽天は、2018年4月に総務省より認定を受けた第4世代移動通信システム(4G)の普及のための特定基地局の開設計画及び2019年4月に認定を受けた第5世代移動通信システム(5G)の導入のための特定基地局の開設計画に則り、世界初となるエンドツーエンドの「完全仮想化クラウドネイティブネットワーク」の構築を推進している。

楽天グループは、5Gを2020年代の社会インフラとして、消費者の利便性の向上のみならず、様々な分野における活用や新ビジネスの創出を通して、社会的諸課題の解決、地方創生等に貢献していくことを目指していく。

新規事業

楽天は、C2C(消費者間取引)事業、シェアリングエコノミーサービス、広告事業、投資事業といった新たなビジネスポートフォリオの強化、ディープラーニング(深層学習)等のAIの活用に引き続き注力することで、現状にとらわれないイノベーションに挑んでいく考えだ。

グローバル展開

楽天は個々のビジネスの成長や事業間シナジーの最大限の追求に加え、グループが持つメンバーシップやデータ、『楽天ポイント』等の活用による革新的なマーケティング手法の確立、世界共通の会員IDやロイヤルティプログラムを提供するグローバルIDプラットフォームの構築、サービスブランド統合、サッカー・スペインリーグ「FCバルセロナ」、NBA「ゴールデンステート・ウォリアーズ」等とのパートナーシップを通じたブランド価値向上等により、今後も「楽天エコシステム」を国内のみならずグローバルでも拡大していくことを目指している。

海外展開の加速に向けてはグローバル経営を一層強化する必要があり、経営資源配分の最適化を図るための事業ポートフォリオの見直しをはじめ、技術開発のグローバルでの最適化等に向けた体制強化へも力を入れている。

研究開発(R&D)活動

楽天の研究開発(R&D)活動は、楽天グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っている。日本の拠点に加え、2014年2月にはフランスのパリ市に、2015年7月にはシンガポールと米国ボストン市に、2018年4月には米国サンマテオ市に、2018年12月にはインドのバンガロール市に研究拠点を設け研究体制の拡大を図っている。

また、2018年5月には、楽天技術研究所内に、医療費削減や健康意識向上などへの課題解決を目的とした「楽天技術研究所 遺伝子ラボ」を設立した。一方でその他の研究のテーマは、今後のインターネットの拡大の方向性についてのビジョンに基づき、「AI・ディープラーニング」「ユーザーインタラクション・AR/VR」「大規模・分散処理」そしてそれらを組み合わせた研究領域として、「第5世代移動通信システム(5G)、IoT、ロボティックスやドローン技術」の4つの研究領域を設定している。

AI・ディープラーニング

AI・ディープラーニングでは、楽天グループが所有する豊富なテキストデータおよびマルチメディアデータを高度に自動解析する技術や、それらを元に様々なサービスを最適化していく技術を開発することで、各事業に横展開可能な多様なサーチ・レコメンデーション・広告・言語処理のプラットフォーム開発につなげている。

ユーザーインタラクション・AR/VR

ユーザーの技術環境の変化に伴う様々なデバイスやセンサーに対応した、リッチなコンテンツ体験として実現するためのユーザーインタラクションを開発し、楽天グループのサービスレベルを全体的に向上させている。本研究分野はAR/VRなどの最新インタラクションも含む。

大規模・分散処理

楽天グループのシステムの拡大に従って、大量に増え続けるログや顧客・商品データを圧倒的効率性で解析するための、並列・分散等のインフラ処理基盤を開発し、競争力を生み出している。

第5世代移動通信システム(5G)、IoT、ロボティックス・ドローン技術

楽天グループは上記3つの研究技術群の研究領域を組み合わせながら、第5世代移動通信システム(5G)、IoT技術基盤や、ロボティックス及びドローン技術の研究開発を行っている。

事業の拡大・展開に関するリスク

『Rakuten』ブランドの展開、統合等の推進について

楽天グループは、多様なサービス展開、広告宣伝活動等を通じて『Rakuten』ブランドの確立を図っており、消費者等に対して一定の認知が得られているものと認識している。また、事業規模の更なる拡大等を目的として、各サービスブランドの『Rakuten』ブランドへの統合推進や、会員データベースの一元化、ポイントプログラムの共通化を媒介とした会員IDの統合等も推進している。

ブランドの展開やブランド統合の認知度向上のための施策や費用については事前に十分な計画を立てているが、思うような成果が現れず計画比で費用が超過する可能性もある。また、統合したブランド名称やロゴ、会員IDの変更に際しては既存会員のロイヤリティの低下や会員組織からの離脱を招く可能性もあり、これらの施策が期待通りの効果を得られない場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

また、ブランド統合により、各サービスブランドの施策がグループ全体に影響を与えるため、一つのサービスブランドにおいて、サービス展開におけるトラブル、役職員による不正等が発覚し、楽天グループのブランドの信頼性やブランド価値を棄損するような事案等が発生した場合、グループ全体に影響を及ぼす可能性がある。

買収(M&A)等について

楽天グループは、国外市場への進出、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、国内外を問わず積極的な買収(M&A)や合弁事業の展開を行っており、これらを経営の重要戦略として位置付けている。買収を行う際には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力諸リスクを回避するように努めているが、案件の性質上時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない場合もあり、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性も否定できない。また、新規サービスの展開に当たってはその性質上、当該新規サービスによる楽天グループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画通りにサービスが進展せず、グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は回収が出来ない可能性がある。

被買収企業の情報システムとの統合や内部統制システム等の統一等、被買収企業の役職員や顧客の維持・承継等が計画通りに進まない可能性や財政状態等に関して楽天グループ全般にわたるリスクが拡大する可能性がある。また、合弁事業や業務提携の展開においても、パートナーとなる事業者について、経営成績や財政状態等について詳細な調査を行うとともに、将来の事業契約やシナジー効果について事前に十分に議論することによって、極力諸リスクを回避するように努めているが、サービス開始後において経営方針に相違が生じ、期待通りのシナジー効果が得られないといった可能性も否定できない。かかる場合、グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は回収が出来ない可能性がある。

この他、ベンチャー企業への投資等、様々な企業に対する投資活動を行っているが、このような投資活動においても、経営環境の変化や投資先の業績停滞等に伴い期待通りの収益が上げられず、投下資本の回収可能性が低下する場合には、投資の一部又は全部が損失となり、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

サービス領域の拡大について

楽天グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが速いインターネットを軸とした多岐にわたる事業をサービス領域としている。新しいサービスを創出し、また時代の流れに即したビジネスモデルを構築する目的で、新規のサービス領域に参入を行っている。新規サービスを開始するにあたっては、相応の先行投資を必要とする場合があるほか、そのサービス固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因でも、楽天グループのリスク要因となる可能性がある。新規に参入した市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能性がある。また、サービスの停止、撤退等においては、当該事業用資産の処分や償却を行うことにより損失が生じる可能性がある。かかる場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

のれんについて

楽天グループは、2013年12月期第1四半期から、連結財務諸表について国際会計基準(IFRS)を適用しているが、IFRSにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なり、のれんの定額償却は不要となる。他方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が生じており、その将来的な効果である回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う必要があり、かかる場合には当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。

各サービスに関するリスク・業績変動要因

マーケットプレイス型のサービスについて

『楽天市場』のようなマーケットプレイス型のサービスや、『楽天トラベル』のような宿泊予約サービス、『Rakuten Rewards(旧Ebates)』のようなオンライン・キャッシュバック・サービス等においては、取引の場を提供することをその基本的性格としている。マーケットプレイス型サービスの取引の場での健全性確保のため、偽造品その他の権利侵害品の排除等に努めているが、楽天グループは売買契約等の当事者とはならず、規約においても、販売者又は役務提供者と購入者又は役務利用者との間で生じたトラブルについて、楽天グループは責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めている。

しかしながら、マーケットプレイス型のサービス等において、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合には、問題となる行為を行った当事者だけでなく、楽天グループも取引の場を提供する者として責任を問われ、更には、楽天グループのブランドイメージが毀損される可能性がある。また、マーケットプレイス型のサービスにおいては、参加する販売者・役務提供者が、他のマーケットプレイス、自社サイト等に容易に移行できるため、利便性、信頼性の高いシステムに加え、集客力に優れた取引の場を継続的に提供しなければ、販売者・役務提供者が減少し、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

直販型のサービスについて

楽天グループが一般消費者に対して商品・役務を直接提供する『楽天24』『楽天モバイル』『爽快ドラッグ』および『ケンコーコム』『楽天ブックス』『楽天kobo』『Rakuten Fashion』等のサービスにおいては、楽天グループは売買契約等の当事者となり、商品・役務の品質、内容に責任を負っている。商品の販売、役務の提供に際しては、関係法令を遵守し、品質管理に万全を期しているが、欠陥のある商品を販売し、又は欠陥のあるサービスを提供した場合、監督官庁による処分を受ける可能性があるとともに、商品回収や損害賠償責任等の費用の発生、信用低下による売上高の減少等により、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

なお、商品については、予測された需要に従って、購入及び在庫水準の管理等を行っているが、想定した需要が得られない場合や、技術革新や他社商品との競争の結果、商品価格が大きく下落する場合は、棚卸資産として計上されている商品の評価損処理等を行う可能性がある。

広告ビジネスについて

楽天グループでは、デジタル広告等に関する広告ビジネスの売上高がグループ全体の売上に対して一定の比率を占めているが、広告市場は特に景気動向の影響を受けやすいものと考えられることから、景気が後退した場合には広告主における予算配分の影響を受ける可能性がある。また、デジタル広告の分野においては技術の進展によって多様な広告手法が生み出されており、新規の参入者も多いことから激しい競争にさらされている。

さらに、プライバシー保護の意識が世界的に高まっており、プライバシーに関する法規制の見直しも世界規模で活発であることから、それらの動きに呼応して広告配信にかかるプラットフォーム等の技術的な仕組みに大きな変化が生じ、その結果、従来可能であった広告手法に変化が生じる可能性がある。かかる事業環境において、楽天グループも、これらの競争や環境変化に対応するため、デジタル広告分野での技術開発を含む様々な施策を講じているが、これらの施策が十分でない場合には、サービスの競争力を失い、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

デジタルコンテンツサービス及び映画事業について

デジタルコンテンツの提供を行う電子書籍サービス、ビデオストリーミングサービス及びミュージックストリーミングサービスにおいては、コンテンツ素材を調達する際に、楽天グループの提供するサービスフォーマットへの変換を要する場合があるほか、映像等の使用許諾に加え、ライセンサー等に対する事前の最低保証料等の支払いを求められる場合があり、かかる先行的な費用の支出が一時的にグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、コンテンツ収入が当該調達費用を下回る場合には、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

映画事業については魅力的な映画製作に努めているものの、劇場用映画の興行成績は作品によって変動があり、十分な観客動員数を確保できない可能性や二次使用料を十分得ることができない可能性がある。その場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

物流サービスについて

楽天グループは、ユーザー及び出店企業の利用満足度を一層高めるべく、出店企業の物流業務の受託サービスの拡大等を通じた配送品質の向上にも注力している。物流拠点の拡大については賃貸等を活用しており、倉庫内設備投資等に際しては、将来見込まれる受注量を予測して実施しているが、当該設備の構築、稼動開始までには一定の時間を要するため、かかる支出は先行的な投資になる場合があるほか、実際の受託業務での収益が予測を下回る場合には先行費用を補えず、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、設備の移転、廃止等が決定された場合においては、当該資産の処分や償却を行うことにより損失が生じる可能性がある。

また楽天グループでは、物流サービスを中心に車両による営業活動を行っている。営業にあたり、人命の尊重を最優先とし安全対策に努めているが、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下し、グループの業績に影響を与える可能性がある。また、重大交通事故を発生させた事業者に対しては行政処分として車両の使用が停止される可能性がある。さらに、「違反点数制度」により、事業所の営業停止や事業許可の取り消し等が行われ、事業が中断、中止するような事態となった場合は、グループの業績に影響を与える可能性がある。

金融サービスについて

法的規制等について:
楽天(株)、および楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)、楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)、楽天ペイメント(株)等の金融サービスを提供する子会社においては、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」「銀行法」「利息制限法」「貸金業法」「割賦販売法」「金融商品取引法」「金融商品の販売等に関する法律」「商品先物取引法」「信託業法」「保険業法」「資金決済に関する法律」「犯罪による収益の移転防止に関する法律」「個人情報の保護に関する法律」「宅地建物取引業法」「特定商取引に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」その他の法令、金融関連諸法規、監督官庁の指針、各金融商品取引所や業界団体等の自主規制機関による諸規則等の適用を受けている。

サービスを提供するために必要な許認可につき、将来、何らかの事由により業務の停止、免許等の取消等があった場合、また、法令諸規則、監督官庁の政策、規制、監督指針が新設され、又はこれらにつき当該サービスにとって不利益な変更が行われた場合には、グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。楽天カード(株)の2007年12月31日以前の貸付契約のごく一部には、利息制限法上の上限利息を超過する利息の定めがあるため、何らかの要因により、楽天カード(株)の引当金算出の前提となる平均請求額等が増加する場合には、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

暗号資産(仮想通貨)交換業について:
暗号資産(仮想通貨)交換業を行っている楽天ウォレット(株)は、経営基盤と業務体制の整備を行い、資金決済に関する法律に基づき2019年3月25日付で関東財務局への仮想通貨交換業者として登録を完了した。仮に、今後監督当局より登録取消や業務停止等の行政処分を受けるに至った場合には、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、暗号資産(仮想通貨)交換業は新しい概念を伴う業務であるため、法的規制及び業界の自主規制ルールが改正又は新たに制定される可能性があり、その場合、事業の縮小や追加コストの発生等によりグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。この他に、楽天ウォレット(株)は犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づき本人確認の実施、取引記録の保存等を行っているが、同法に適合しない事案が発生した場合には監督官庁による行政処分等を受けることがあり、その場合にはグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

事業環境について:
楽天グループが営む金融サービスにおいては、クレジットカード決済等における加盟店契約業務を提供しており、加盟店からの手数料を収入源としているため、加盟店契約獲得の減退、競争激化による加盟店の流出等により、グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。またクレジットカード、QRコード決済等の不正利用等の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

<楽天カード(株)>
楽天カード(株)においては、主に個人顧客を対象とし、また、運転資金の調達を債権流動化と金融機関からの借入金等により賄っていることから、経済環境が悪化し、消費低迷による借入需要の減退、失業率の上昇による自己破産又は多重債務者の増加等が生じた場合、金融市場の情勢変化による金融機関の与信方針の変更があった場合、グループの信用状態が悪化した場合等には、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、貸倒リスクを軽減するための与信管理システムの維持・運営や、債権回収のノウハウを持つ人材の確保に重大な問題が生じた場合、サービス及び経営成績に支障が生じる可能性がある。

<楽天銀行(株)>
楽天銀行(株)においては、有価証券が当該事業の運用資産の一部を占めており、運用収益に一定程度影響を及ぼす可能性がある。運用資産としては、貸出債権の他に、債券、証券化・流動化商品等の多様な金融商品での運用を行っている。金融商品の運用による収益は、金利、外国為替、市場変動、債務者の信用リスク等により大きく影響を受けることがあり、これらの運用により当該事業が損失を計上した場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、貸出債権については、経済動向の悪化、債務者の信用状況の悪化、会計基準の変更、保証会社の信用状況の変化、保証履行状況の変化等により貸倒引当金及び保証料等与信関連費用が増加する可能性があり、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

<楽天証券(株)>
楽天証券(株)においては、個人顧客を対象に、株式現物取引、株式信用取引、外国為替証拠金取引、投資信託販売、債券取引、先物・オプション取引、海外先物取引、商品先物取引等のサービスを提供しており、委託手数料をその主要な収入源としているため、証券市場等の金融市況の影響を受けている。金融市況は、経済情勢、世界各国の市場動向、政治動向及び規制動向、並びに投資家心理等の影響を受けており、市場低迷が生じた場合や、株式相場の急激な変動等に伴う信用取引高の減少及び顧客への信用取引貸付金等の未回収等が生じた場合には、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

<楽天生命保険(株)>
楽天生命保険(株)においては、主に個人向け保障性生命保険商品を販売しており、保険契約者からの保険料収入を主な収入源としている。当該サービスは、保険料設定時の予測を超えた死亡率・入院率等保険事故発生率の増加、資産運用環境等の変化による運用資産価値の減少、新規契約の減少や解約契約の増加等による保有契約の著しい減少が生じた場合、また法令上求められる将来の保険金・給付金の支払いに備えた責任準備金がその前提となる状況の変化によって積立不足を生じ、繰入額の増加が生じた場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

<楽天損害保険(株)>
楽天損害保険(株)においては、自動車保険、火災保険を中心に、さまざまなリスクを補償する損害保険商品を販売しており、保険契約者からの保険料及び資産運用による収益を主な収入源としている。このため、新規契約の減少や解約契約の増加等による保有契約の著しい減少が生じた場合、また安定した資産運用収益を得るため投資を行っている国内外の有価証券等について資産運用環境等の変化による運用資産価値の減少が生じた場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、自然災害の発生等により多額の保険金支払いが生じた場合に備えて再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行っているが、予測の範囲を上回る頻度や規模の保険金支払いが生じた場合に、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

<楽天ペイメント(株)>
楽天ペイメント(株)においては、アプリ決済(QRコード決済)の提供、中小加盟店に対する小型端末を使ったクレジットカード決済等の提供等を通じて、加盟店からの手数料を主な収入源としており、競争激化による加盟店手数料率の低下や一時的な減免等によりグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、競争激化により、利用促進のため多額のマーケティングコストを費やした場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

<楽天ウォレット(株)>
楽天ウォレット(株)においては、ビットコイン、イーサリアム等の暗号資産(仮想通貨)に係る交換所として取引サービスを行っているが、暗号資産(仮想通貨)の取引価格は短期間に大きく変動することがあり、それに伴い取引需要も大きく変動することがある。仮に取引需要が大きく落ち込んだ場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、暗号資産(仮想通貨)取引に関して、IFRSにおいて新たなルールや指針が明確化された場合、税務上の取扱の通達等により税務処理を変更することが必要となる場合等には、同様にグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

資金流動性について:
楽天銀行(株)では、インターネット・バンキング・サービスを行っている。当該サービスにおいては、普通預金の引出し、定期預金の解約、他の金融機関への送金又は振込がインターネット上で行えるため、当該子会社及び楽天グループのレピュテーションに影響を及ぼす風評が流布される等、不測の事態が発生した場合には、預金の流出が通常の銀行と比較して速いペースで進展する可能性があり、予想を超えた著しい資金流出が起こった場合には、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

顧客資産の管理について:
楽天ウォレット(株)は、顧客の資産保全に向けて顧客から預託を受けた金銭を、信託口座を経由した銀行預金にて自己資金とは分離して管理を行っているほか、顧客保有分の全ての暗号資産(仮想通貨)をコールドウォレットで保管し、一部の通貨を除き秘密鍵も複数の署名を必要とするマルチシグネチャーで管理している。また、二段階認証を採用しており、ログイン時、出金時、出庫時に二段階認証の設定を必須としている。しかし、仮にこれらのリスク管理措置が十分有効に機能せず、顧客の資産が流出等した場合には、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

リスク管理の有効性について:
近年金融市場においては、市場の急激かつ大規模な変動や混乱がたびたび生じている。また、経済環境の急激かつ大規模な変動もしばしば生じている。楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)、楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)、楽天ペイメント(株)および楽天ウォレット(株)は、こうしたリスクに対し、リスク管理方針及び手続を整備し運営しているが、リスク管理方針及び手続の一部は、金融市場において将来発生する種々のリスクを必ずしも正確に予測することができず、有効に機能しない可能性があり、その結果、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

移動体通信事業者(MNO)サービスについて

法的規制等について:
楽天モバイル(株)が提供する本サービスは、通信事業に関する法律、規制の改廃、政策決定等による直接又は間接の影響を受ける可能性がある。これらの法令等の改廃、政策決定等により、同社のサービスの提供に制約等を受ける可能性がある。また、同社がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、行政機関から行政処分等を受ける可能性がある。かかる場合、楽天モバイル(株)及び楽天グループの信頼性の低下、事業展開への制約等を通じて、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

他の事業者との競争、市場や事業環境について:
本事業の市場は、大手競合他社が存在し、また、仮想移動体通信事業者(MVNO)との価格競争等が生じている。競合他社は強固な顧客基盤を有しており、その優位性を現状以上に活用しサービス等を展開する場合には、楽天モバイル(株)において、顧客を新規に獲得及び維持することが困難となり、また、楽天モバイル(株)および楽天グループが、期待通りにサービスおよび関連商品を提供できない可能性がある。また、通信事業者が提供するサービスの同質化やMVNO各社による格安SIMサービス等の普及が進み、通信事業者が新たな収益の確保に向けて通信以外のサービスへ事業領域を拡大する等、事業環境が大きく変化している。かかる状況の下、他の事業者との競争、市場や事業環境の急激な変化等により、楽天モバイルおよび楽天グループにおいて、計画通りの収益を獲得できない可能性がある。

設備について:
楽天モバイル(株)による移動体通信事業者(MNO)サービスの開始、拡大には、基地局及び伝送・交換等を行う通信設備を設置するための地権者との協議、通信ネットワークを構築するための他事業者が保有する通信回線設備との連携、通信機器やネットワーク機器の調達等を行う必要があるが、これらの協議等が想定通りに進まない場合には、楽天モバイル(株)が当該サービスを計画通りに開始できない可能性や、追加費用が発生する可能性がある。また、楽天モバイル(株)の想定を大きく上回る通信障害等の不測の事態が発生した場合や、サービスを提供するために必要な他事業者等との連携に想定よりも時間を要した場合には、顧客へのサービス提供の開始時期の遅延や、提供するサービスに制約を受けることにより、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

第三者との業務委託、提携等について

金融機関等との委託、提携について:
楽天グループが営む金融サービスは、(株)ジェーシービー、米国American Express Company、米国Mastercard,Inc.、米国Visa,Inc.等のクレジットカードの国際ブランド会社との契約に基づき提供しているが、提携先との関係が悪化した場合には経営成績に影響を及ぼす可能性がある。 楽天銀行(株)は、独自のATM網を有していないため、ATMの利用に関わる契約を締結している(株)三菱UFJ銀行(株)みずほ銀行(株)セブン銀行(株)ゆうちょ銀行(株)イオン銀行等との関係が悪化した場合、これらの業務又はシステムに支障が生じた場合等には、グループの事業や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。

楽天ペイメント(株)は、提供している各種サービスにおいて多くの企業と提携しており、提携先との関係が悪化した場合には、グループの事業や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。

また、楽天グループが営む金融サービスでは海外における事業活動を遂行するために、現地の金融企業との業務提携を行っている。楽天銀行(株)は台湾においてIBF Financial Holdings Co.,Ltd.(旧 Waterland Financial Holdings Co.,Ltd)と共同で、銀行業務開始に向けた対応を行っている。楽天証券(株)はマレーシアにおいてKenanga Investment Bank Berhad社と合弁会社を設立し、証券業務を行っている。これら業務提携先との関係が悪化した場合、これらの業務に支障が生じた場合等には、グループの事業や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。

旅行関連事業者との連携について:
『楽天トラベル』を中心とするトラベルサービスにおいては、航空会社、鉄道会社との連携、グローバル化の推進等、国内外の旅行関連事業者との連携により、総合的な旅行関連サービスの強化を図り、サービスを展開していく方針を定めているが、提携先との関係が悪化した場合や新たな提携先との協議が順調に進まない場合には、当該事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

電気通信事業者の相互接続協定について:
楽天モバイル(株)は、電気通信役務の円滑な提供のために他の電気通信事業者の通信設備と楽天モバイル(株)の通信設備を相互接続するための相互接続協定を結んでいる。現状において、電気通信設備を有する者は他事業者に対して原則として接続義務を有しているが、電気通信事業法等の改正等により、接続義務の撤廃や緩和等の措置が取られ、楽天モバイル(株)の負担すべき使用料、相互接続料等が増加する場合、又は楽天モバイル(株)にとって不利な形で条件変更がなされた場合には、楽天グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

仮想移動体通信事業者(MVNO)サービスの通信キャリア回線利用について:
楽天モバイル(株)が提供する『楽天モバイル』サービスは、楽天モバイル(株)が他の電気通信事業者の回線を借り受け、仮想移動体通信事業者(MVNO)サービスを提供しているが、何らかの理由により、提携する電気通信事業者が回線の利用料を引き上げた場合や当該電気通信事業者との提携が終了するに至った場合等には、楽天モバイル(株)が提供するサービスに支障をきたす可能性があるほか、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

商品、コンテンツ、技術等の供給について:
楽天グループは、直販型のサービスにおける販売商品、運営するウェブサイトにおける検索エンジンやニュース等の一部のコンテンツ、サービスに利用する技術等について、外部の事業者から供給又はライセンスを受けている。今後、当該事業者との関係の悪化、倒産、需要の増大、経済環境の変化、契約変更その他の要因により、供給が中断された場合、有力コンテンツを円滑に導入できなかった場合、供給価格が高騰した場合、ライセンスが停止された場合等には、サービス提供に支障をきたす可能性があり、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

商品の配送について:
『楽天市場』等のマーケットプレイス型及び『楽天ブックス』等の直販型サービスでは、販売者から購入者への商品配送は、主に外部の配送事業者に依存している。今後、配送料金の値上げ、配送条件の悪化等、配送に関するユーザー及び出店企業の満足度が悪化した場合、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。


2019年12月期 有価証券報告書(提出日:2020年3月27日)