法人向け動画配信プラットフォームなど新事業が成長を牽引!人材育成の「アイスタディ 」

法人向け動画配信プラットフォームなど新事業が成長を牽引!人材育成の「アイスタディ 」

クシム

IT人材の不足など様々なところで人材不足が問題となっているなか、人材育成で伸び始めている企業があります。

今回扱うのは「アイスタディ 」(証券コード:2345)です。

2017/12期の売上高は7.6億円(+91.1%)、経常利益は3,893万円と黒字化

1997年にオープンシステム研究所とインドのKumaran Systemsが共同出資してアイキャン(現在:アイスタディ )を設立します。

最初はIT人材の研修事業をおこなっており、1999年からベンダー資格取得のための学習支援ソフト『iStudy』シリーズの販売を開始しています。

2001年にベンダー資格学習者向けサイト『@iStudy』を開始し、2002年にマザーズ市場へと上場します。

また、2015年にブイキューブの公開買付けにより子会社となっています。

売上高は2016/3期にかけて減少していましたが、2017/12期には7.6億円と大きく増加しています。

経常利益も3,893万円と黒字化しており、経常利益率は5.2%ほどあります。

ソフトウェア事業の売上は4億円(+25%)、研修サービス事業の売上は3.6億円(+64%)

アイスタディの事業は「ソフトウェア」「研修サービス」の2つに分けることができます。

ソフトウェア事業

ソフトウェア事業では主に法人向け学習管理『iStudy LMS』を提供しています。

iStudy LMSの主な機能

『iStudy LMS』には研修管理やeラーニングなど人材育成に必要な機能が揃っています。

また、社員のスキル把握から学習状況の進捗管理まで行うことができます。

eラーニングでの学習はPCだけでなく、自分のスマホでも行うことができます。

iStudyシリーズではカテゴリを選択して、問題に回答し解説で理解を深めるといったことができます。

さらに、IPによりeラーニングで扱うコンテンツを制限することができます。

機密性の高い内部規則や商品に関する内容は会社でのみ、自主的に勉強してもらいたい英語やビジネスマナーなどの内容は自宅でも可能といった設定ができます。


研修サービス事業

研修サービス事業では研修やeラーニングコンテンツを提供しています。

アイスタディ Oracle研修

アイスタディではOracleやMySQLといったデータベースに関する研修の他にも、IBMのアプリケーションやJava言語の研修なども行なっています。

日程や種類によって金額は様々ですが、Oraclesのデータベースを速くするためのチューニング研修の場合だと3日間で21万円ほどです。

iStudy eラーニング総合カタログ

eラーニングコンテンツにはデータベースなどのITコンテンツ以外にもマネジメントやOfficeの使い方など様々なコースが揃っています。


それぞれの事業の売上を見てみましょう。

2017/12期における売上はソフトウェア事業が4億円、研修サービス事業が3.6億円とどちらも増加しています。

また、2018年上半期で既にソフトウェア事業の売上が3.3億円とかなり増加していることがわかります。

ストック売上の受注残を見てみると、着々と増加していることがわかります。

2018年6月時点におけるストック売上の受注残は2017年1月から80%近くも増えています。

法人向け動画配信プラットフォームなど第2創業期のビジネスが成長を牽引

ソフトウェア事業と研修サービス事業では2017年4月から第2創業期事業として新しい事業を始めています。

2018年2Q決算説明資料

売上を創業期からの事業と第2創業期事業に分けてみると、2017年からの成長は主に第2創業期事業が牽引していることがわかります。

QUMU

ソフトウェア事業では第2創業期の事業として、2017年4月から法人向け動画配信プラットフォーム『QUMU(クム)』を親会社の「ブイキューブ」と提携して開始しています。

『iStudy LMS』と連携して社員の研修やトレーニングを動画で配信することができたり、マニュアルや操作説明なども配信することができます。

USENや『丸亀製麺』でおなじみのトリドールホールディングスなどが主な顧客で、開始から1年弱で顧客数は約7倍まで増加しています。

また、研修サービス事業では研修配信スタジオと配信スタッフを提供するサービスを2017年6月からスタートしています。

こちらもブイキューブとの連携ですが、年間2,000回を超える映像配信をサポートしています。

2017/12期における営業キャッシュフローは8,400万円

コスト構造について見てみましょう。

売上に対する原価率は67.2%と増加傾向にあり、販管費率は27.1%と減少傾向にあります。

2018年6月末時点における総資産は18億円あり、そのうち現預金が半分ほどの9.1億円あります。

資産の源泉である負債・純資産を見てみると資本金と資本剰余金の合計が13.9億円と大部分を占めています。

借入金などの有利子負債はなく、利益剰余金は1億円ほどです。

2017/12期の営業キャッシュフローは8,400万円あり、フリーキャッシュフローは4,406万円です。

2018年上半期の営業キャッシュフローは今のところ3,000万円ほどのマイナスとなっています。

現在の時価総額は42.7億円なので、現預金を考慮した企業価値は33.6億円ほどです。

2017/12期のフリーキャッシュフローは4,406万円なので、企業価値は約76年分の評価を受けていることになります。

人材育成+転職支援の『iStudy ACADEMY』で更なる成長を進める

最後に今後の展望について見てみましょう。

IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果

経済産業省の調査によると、IT人材に不足は2020年で約30万人、2030年には約59万人と拡大していく傾向にあります。

iStudy ACADEMY

アイスタディでは既存事業の人材育成に転職支援を加えた『iStudy ACADEMY』を始めています。

市場のニーズを元に学習コースをアイスタディが提供し、受講者はそれらのコースを受講します。

コース修了後はスキル認定がされ、求人情報の提供や応募手続きの代行など転職支援サービスを受けることができます。

G検定1発合格を目指すAIプランナー・コンサルタント養成コース

iStudy ACADEMYに登録して受講すると、25%ほどの割引があるだけでなく転職成功時にはコースの受講料が全額返金される制度もあります。

提供コースの第一弾として、「3か月で現場で潰しが効くディープラーニング講座」を2018年6月に開講しました。

2018年2Q決算説明資料

ディープラーニングの他にも、ブロックチェーンやデータサインティストなどニーズのあるコースを今後も増やしていく予定です。

2018年2Q決算説明資料

アイスタディでは今伸びている第2創業期の事業に加えて、第3の成長エンジンとして『iStudy ACADEMY』を中心にした人材サービスで拡大を進めていきます。