スタートアップの登竜門?印鑑ECシェアNo.1『ハンコヤドットコム』を運営する「AmidAホールディングス」

スタートアップの登竜門?印鑑ECシェアNo.1『ハンコヤドットコム』を運営する「AmidAホールディングス」

今回まとめるのは、印鑑ECシェアNo.1『ハンコヤドットコム』を運営する「AmidAホールディングス」(証券コード:7671)です。

ハンコヤドットコム

父の経営する飲食店からインターネットの世界へ。18/6期売上は27.4億円(+7.1%)

ハンコヤドットコムの創業者は、1968年大阪市出身の藤田優氏です。

藤田氏の父親は、大阪市内で喫茶店やバーなどの飲食店を4店舗経営していました。

藤田氏の高校時代は、勉強をあまりせず店の手伝いを頻繁にしていたそうです。

大阪学院大学卒業後は、そのまま父親の経営するお店に入りました。

当初は、喫茶店のメニュー作成のためにワープロが用いられていましたが、1995年以降はWindows95で作業を行うようになります。

藤田氏はPCにハマってしまったそうで、結婚サービスやいくつかの商品をインターネット通販するようになります。

1998年、印鑑問屋を営む友人に「販路を広げたいからECサイトをもってくれ」と頼まれたのがきっかけでハンコを扱うようになります。

2000年に(株)ハンコドットコムを設立、2018年12月にマザーズ市場に新規上場します。

業績推移を見ていくと、売上が右肩上がりに増加しており、2018/6期の売上は27.4億円あります。

営業利益は3.1億円、営業利益率は12%ほどとなっています。

売上成長率を見ていくと、2015/6期は26.9%と高い成長率でしたが、今期は7.1%と増収率はだいぶ落ちついてきたことがわかります。

新株式発行並びに株式売出届出目論見書

事業セグメントはハンコヤドットコムを運営する「EC通販事業」とECサイトへの集客やデータ分析、サイトの保守・運営などを手がける「デジタルマーケティング事業」の2つに分かれます。


今回のエントリでは、12月に新規上場するAmidAホールディングスの事業内容を中心に、財政状態についてもチェックしていきます。

EC通販事業:年間41万件の販売実績をもつ印鑑ECサイト『ハンコヤドットコム』を運営

EC通販事業では、印鑑やスタンプを中心とした商材他、名刺や封筒、表札、名入れカレンダーなど約20万アイテムを超える商品を、印鑑ECシェアNo.1の『ハンコヤドットコム』で販売しています。

このEC通販事業が売上のほぼ100%を占めるAmidAホールディングスのメイン事業です。

扱う商材は、印鑑などの「彫刻」、シャチハタなどの「スタンプ」、名刺やカレンダーなどの「印刷」、「その他」の4つの商品セグメントに分かれています。

商品セグメントの構成比を見ていくと、「彫刻」が最も大きくEC通販事業売上の63%を占めています。

次に大きいのが「スタンプ」で、EC通販事業の26%を占めています。

彫刻とスタンプセグメントを足し合わせると90%弱あるので、ハンコとシャチハタが売上の大半を占めているということがわかります。

get your kanji

2018年8月には外国人向けに印鑑の販売をスタート。

海外の方の英字をあて字に変換して、印鑑を作ります。

たとえば、「Alvin(アルビン)」さんの場合であれば、「亜流敏」となります。

価格は1本1560円~で、50種類以上のデザインから購入することが可能です。

AmidAホールディングスは、製造拠点を東京に1拠点、大阪に2拠点保有しています。

そのため、日本国内90%以上の地域に翌日午前中配達できることが強みで、年間41万件の出荷実績をもちます。

AmidAホールディングスは印鑑オンラインショップ「ハンコヤドットコム」のグループサイトとして、 35以上のECサイトを運営しています。

自社サイト運営の他に、楽天市場やYahoo!ショッピングにも出店していますが、自社サイトでの販売が94.3%を占めており、ECモールへの出店は控えめです。

というのも、マーケットプレイスへ出店を行うと、他社との価格比較が表示されるため価格競争に陥りやすいからです。

デジタルマーケティング事業:サービス提供先はまだ自社のみ

AmidAホールディングスはEC通販事業の他に、「デジタルマーケティング事業」を抱えています。

デジタルマーケティング事業では①ECサイトへの集客②データ分析・改善提案③システムの開発・保守の3つを手がけています。

しかし、このサービスはAmidAホールディングスにしか提供しておらず、現時点では自社ECサイト運営を強化するための事業ということになります。

新規上場申請のための有価証券報告書にて、EC通販事業への依存が事業のリスクであると記載されているので、今後はデジタルマーケティング事業に本腰を入れていきそうです。

財政状態:利益剰余金がBSの68.5%

AmidAホールディングスのコスト構造をチェックしていくと、売上原価率が44.5%あります。

販管費率が2017/6期から2.2pt増加しており、営業利益率は11.6%です。

バランスシートを確認していくと、総資産は16.2億円あります。

そのうち、キャッシュが7.6億円、有形固定資産が3.6億円あります。

資産の原資となる負債純資産の部を見ていくと、利益剰余金が11.1億円とバランスシートの68.5%を占めます。

借入金は500万円あります。

キャッシュフロー推移を確認していくと、営業キャッシュフローはここ2年間プラスで、2018/6期は2.9億円稼ぎ出しています。

フリーキャッシュフローもプラスで、今期は2.4億円となっています。

印鑑レス化が進む中でポイントカードをスマホで一元管理する『pokepon』をスタート

現在の印鑑の市場規模は3000億円ほどと言われていますが、ペーパーレス化やサービスの電子化が進んでいくなかで、印鑑の市場規模は縮小していくことが予測されます。

実際、印鑑を使う場面といえば役所に行く時か、銀行に行く時ぐらいという感じですし、三菱UFJ銀行が2016年に、届け出印なしで銀行口座を開設できる『スマート口座開設』を始めるなど、印鑑レス化の流れは少しずつ進んできています。

『pokepon』

pokepon

印鑑レス化が進む状況をふまえて、AmidAホールディングスは新サービス『pokepon』をスタートしました。

これはポイントカードが複数枚あり、管理や整理ができないという不便に対して、ポイントカードをデジタル化し一元管理できるようにするというサービスです。

料金は、ポイントカード会員数や付帯プランに応じて、1店舗あたり500円から5000円となっています。

1店舗あたり500円のプランの場合、会員数は500人までで来店する顧客属性など簡単な分析機能がついてきます。

1店舗あたり5000円プランの場合だと、会員数は無制限で、来店分析レポートやWEB集客機能を兼ね備えています。

使い方に関しては、まずpokeponでアカウントを作成します。これは1分ほどで作成可能とのこと。

その後、QRコードを用いてpokepon導入店のポイントカードをダウンロードして、来店時にQRコードスキャンでポイントを貯めていきます。

一般ユーザーからするとポイントカードの管理が楽になりますし、pokepon導入店には来店分析機能がついてくるメリットがあります。


海外展開

AmidAグループとしての新たなチャレンジ

国内マーケットが縮小していく中で、海外顧客を獲得するための試みをAmidAホールディングスはおこなっています。

例えば、2015年に期間限定で成田空港にハンコヤドットコムのリアル店舗を出店したり、アリババに出店もしています。

参考文献

ブランディングの重要性に着目。ハンコの素人がナンバーワンに