名主の子が作った民間発の地銀「スルガ銀行」そのユニークな事業と経営戦略を紐解く

スルガ銀行

今回は、”ちょっと変わった”銀行として知られるスルガ銀行について取り上げます。

創業者の岡野喜太郎氏は1864年、現在の静岡県沼津市青野で名主の長男として生まれました。

当時、青野村では西南戦争(1877年)やその後の政府による不換紙幣の乱発、暴風雨による飢饉(1884年)などにより、経済が疲弊していました。

その中で1887年、弱冠22歳だった岡野喜太郎氏は、通っていた師範学校(小学校教師の養成校)を退き、村人のための貯蓄組合「共同社」を設立。村人たちに「勤倹貯蓄の精神」を説いて回りました。


1895年になると、「共同社」をベースに資本金1万円の日本一小さな銀行「根方銀行」を設立。

当時、国立系の銀行が多くを占める中、”純民間”で社員数名でのスタート。

すると、日清戦争による好景気の影響で取引希望者が殺到。翌年には駿東実業銀行に社名を変更します。

その後は駿東地域から神奈川、伊豆地域にも店舗を拡大。1912年には「駿河銀行」に改称します。


太平洋戦争中には、政府によって「一県あたり一行」という方針が取られ、県内の銀行と合併するよう命令されますが、「それでは独占的になり、客のためにならない」という信念のもと、断固として拒否。

戦後は、戦災によって逼迫した神奈川県のために5000万円(現在の価値で約70億円)の融資を実行。その後、神奈川県の県金庫に指定されることになります。


1978年には地銀として初めてカードローンの取り扱いを開始。

1990年には金融自由化の中、金融”サービス”業として変革することを考え、カタカナ表記の「スルガ銀行」に表示社名を変更(2004年に正式に商号を変更)。

1999年にはインターネット支店「ドリームダイレクト支店」を開設したり、2006年には日本初のVisaデビットカードを発行。

国内の銀行としては他に類を見ない取り組みを続けています。

(参考:スルガ銀行 公式ホームページ

ここ11年間の業績推移を見てみます。

2012/3期以降、成長が加速し、2017/3期には経常収益1457億円、経常利益582億円に達しています。

今回の記事では、スルガ銀行の収益やバランスシートなどの決算数値を紐解いた上で、同社の戦略についてまとめてみたいと思います。


スルガ銀行の収益の内訳

まずは、ざっくりと経常収益の内訳を見てみましょう。

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