ベンチャーキャピタルなのに上場?SlackやBoxにも投資したソーシャル・キャピタルと無事業で上場する「SPAC」とは

シリコンバレーの有力なVC(ベンチャーキャピタル)の一つに「ソーシャル・キャピタル」があります。

ソーシャル・キャピタルは2011年5月に設立され、クラウドストレージサービスのBOX(NYSEに上場)や企業向けソーシャルネットワークのYammer(マイクロソフトにより買収)、コラボレーションツールのSlackなどに投資しています。


VCの仕事は、未上場企業に投資して、上場するまで(or買収されるまで)育てる、というのが基本ですが、このソーシャル・キャピタルは自ら上場してしまいました。

SOCIAL CAPITAL HEDOSOPHIA HOLDINGS CORP. (IPOAU) IPO

どうやらこの法人はソーシャル・キャピタルが投資先を従来よりもスムーズに上場させるための「箱」として使うつもりのようです。

Social Capital to take startups public without an IPO

ファウンダーのチャマス・パリハピティヤ氏によれは、近年のIPOプロセスはぶっ壊れており、多くのスタートアップが必要以上に長い時間をかけさせられているそうです。

スタートアップに勤める従業員にとって、会社がIPOすることで、自分が保有する会社の株式を売却する機会を得られます。そのことがスタートアップのエコシステム全体にとってとても重要だとチャマス氏は考えています。


そこでチャマス氏は、スタートアップが新しい選択肢として上場する代わりに「上場したファンドによる買収」という出口を用意し、よりスムーズに株式の流動性を提供できるようにしよう、と考えたというのが狙いのようです。

SPAC(特別買収目的会社)とは?

今回上場したソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディングスは、「SPAC(Special Purpose Acquisition Company)」という形式に分類されています。

これは「上場した後に未上場企業を買収することを前提として上場する会社」ということで、アメリカの証券取引所では珍しいものではありません。


実際、アメリカのIPO企業の一覧を見ていると「Blank check company(白紙小切手会社)」と書かれたものが毎月数件あり、どれも「事業を持たず、これから買収する会社を考えるよ」などとのたまわっています。

なんだかふざけた話のように思ってしまいますが、SPACの上場は主に「自分たちのレピュテーションや経験に自信があり、最終的に上場企業として十分な機能を持つ企業グループを形成できる創業者」によってなされます。

創業者は投資銀行にSPACの上場を持ちかけ、投資銀行側はそれに対してフィー(10%前後が一般的)を受け取って上場させます。

上場した後は、決まった期間(24ヶ月が一般的)以内に、未上場企業の買収を完了することが義務付けられます。もし、その期間以内に買収を完了しなければ、SPACは自動的に解散し、お金は投資家たちに返却されます(Investopediaより)。

こんなレポートもありました。

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